腎移植における尿中マクロファージ解析の意義の検討

【はじめに】 尿中マクロファージ解析は、腎炎の病態鑑別に有用であると報告されており、腎障害を反映するマーカーの1つと考えられている。腎移植における尿中マクロファージ解析についてはこれまで報告はなく、今回我々は腎移植周術期においてその意義を検討した。【対象と方法】 2019年5月から2020年3月まで当科で施行した生体腎移植例のうち、周術期に尿中マクロファージ解析を施行した14例(ABO不適合5例、preformed DSA陽性2例)に対して、術前、術後1,7,14,21,28日目の計6回随時尿5mlを採取し、抗CD68モノクローナル抗体を用いて陽性細胞数をカウントした。結果は尿中Cr量(mg)...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 339_2
Main Authors 伊藤, 大樹, 高山, 哲郎, 中村, 篤司, 眞田, 覚, 芳賀, 泉, 阿佐美, 健吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_339_2

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Summary:【はじめに】 尿中マクロファージ解析は、腎炎の病態鑑別に有用であると報告されており、腎障害を反映するマーカーの1つと考えられている。腎移植における尿中マクロファージ解析についてはこれまで報告はなく、今回我々は腎移植周術期においてその意義を検討した。【対象と方法】 2019年5月から2020年3月まで当科で施行した生体腎移植例のうち、周術期に尿中マクロファージ解析を施行した14例(ABO不適合5例、preformed DSA陽性2例)に対して、術前、術後1,7,14,21,28日目の計6回随時尿5mlを採取し、抗CD68モノクローナル抗体を用いて陽性細胞数をカウントした。結果は尿中Cr量(mg)にて除し補正値として評価した。【結果】 各測定時期別の母平均に有意差は認めなかったが、移植後14日目は他時期よりも高い傾向があった。ABO不適合あるいはDSA陽性症例と、そのいずれでもない症例において、移植後14日目の母平均に差は認めなかった。一方でドナー年齢別で評価すると高齢ドナーの方が母平均が高い傾向があった。【まとめ】 移植後14日目に一過性に尿中マクロファージが増加する現象を発見した。詳細な機序は明らかではないが免疫学的要因の関与の可能性は低いと考えられた。また高齢ドナーでは各測定時期において尿中マクロファージ数が多い傾向を認めた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_339_2