腎移植患者の維持管理システムの開発

【背景】腎移植患者は終生免疫抑制療法を行うため、長期的な維持管理システムが必要で、特に慢性拒絶の防止が重要である。【方法】1997年以降に当院で維持管理を行った約3,000名の腎移植患者から得られた約600,000件の生化学データや患者情報を分析対象とした。HLAのマッチングや免疫抑制剤の濃度と各種臨床データから慢性拒絶の予測因子などを調べた。【結果】de-novo DSA産生の主な要因は、既存抗体の有無とHLAのアミノ酸配列のミスマッチ数とTacrolimusの濃度だった。MMFの濃度は特に影響しなかったが、Everolimusの濃度は予後と相関が見られた。拒絶後の予後増悪因子は呼吸器感染症...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 393_2
Main Authors 渕之上, 昌平, 花房, 規男, 中島, 一朗, 土谷, 健, 岩藤, 和広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_393_2

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Summary:【背景】腎移植患者は終生免疫抑制療法を行うため、長期的な維持管理システムが必要で、特に慢性拒絶の防止が重要である。【方法】1997年以降に当院で維持管理を行った約3,000名の腎移植患者から得られた約600,000件の生化学データや患者情報を分析対象とした。HLAのマッチングや免疫抑制剤の濃度と各種臨床データから慢性拒絶の予測因子などを調べた。【結果】de-novo DSA産生の主な要因は、既存抗体の有無とHLAのアミノ酸配列のミスマッチ数とTacrolimusの濃度だった。MMFの濃度は特に影響しなかったが、Everolimusの濃度は予後と相関が見られた。拒絶後の予後増悪因子は呼吸器感染症とde-novo DSAの発生などだった。それらに基づき患者毎の背景・経過・治療方針を表示するシステムを開発した。【考察】AIを用いた腎移植患者のorder madeの維持管理システムは免疫抑制療法の最適化などに有用である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_393_2