移植心冠動脈病変進展評価における免疫学的評価

【緒言】移植心冠動脈病変(CAV)は、移植後慢性期の主要な死因である。CAVの評価方法は冠動脈造影検査が一般的であり、CAVの発生と進展に抗体関連拒絶(AMR)の関与が報告されている。今回、CAVの進行及び重症度予測における抗体との関連を検討した。【方法】当施設に通院している心移植後患者で移植後に1回以上の冠動脈造影検査を施行し、かつ抗HLA抗体等の免疫学的評価を行った57例を対象とした後ろ向き観察研究。CAVの評価はISHLT gradingに準じCAV0-1を軽度以下のCAV症例、CAV2-3を中等度以上のCAV症例と定義した。【結果】移植時の平均年齢は29.0±17.9歳であり、中等度以...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 265_2
Main Authors 菊池, 規子, 新浪, 博士, 服部, 英敏, 斎藤, 聡, 萩原, 誠久, 布田, 伸一, 野本, 美智留, 市原, 有起
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_265_2

Cover

More Information
Summary:【緒言】移植心冠動脈病変(CAV)は、移植後慢性期の主要な死因である。CAVの評価方法は冠動脈造影検査が一般的であり、CAVの発生と進展に抗体関連拒絶(AMR)の関与が報告されている。今回、CAVの進行及び重症度予測における抗体との関連を検討した。【方法】当施設に通院している心移植後患者で移植後に1回以上の冠動脈造影検査を施行し、かつ抗HLA抗体等の免疫学的評価を行った57例を対象とした後ろ向き観察研究。CAVの評価はISHLT gradingに準じCAV0-1を軽度以下のCAV症例、CAV2-3を中等度以上のCAV症例と定義した。【結果】移植時の平均年齢は29.0±17.9歳であり、中等度以上のCAVを有する症例は57例中13例(22.8%)であった。抗HLA抗体は軽度以下のCAV症例44例中13例 (28.9%)、中等度以上のCAV症例 13例中9例 (69.2%) に認めた。ドナー特異抗体(DSA)は軽度以下のCAV症例44例中0例、中等度以上のCAV症例13例中5例(38.4%)に認め、5例中4例は重度のCAVを呈した。DSA陽性かつ抗C1q抗体陽性の症例は4例であり、いずれも中等度以上のCAVを有していた。【結語】免疫学的評価を組み合わせることにより非侵襲的にCAVの重症度の予測ができる可能性があり、移植後慢性期にCAVの評価を要する症例の層別化に寄与する可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_265_2