当院「がんリハビリテーション」導入後1年における処方状況の分析

【はじめに】がんの集学的治療においては、手術療法、化学療法、放射線療法などの直接的治療に併せ、看護師、薬剤師、MSW、栄養士、リハセラピストなど多職種連携によるチーム医療が重要である。その中で、がんの進行や治療の副作用で生じる様々な障害に対し、運動機能・生活機能低下の予防、改善を目的としたリハセラピストの役割は重要である。当院においては、平成27年6月より「がんのリハビリテーション(がんリハビリ)」を導入し、これまでに、理学療法士3名、作業療法士2名、言語聴覚士1名が指定研修を受講している。今回、導入後1年のがんリハビリの処方状況を後方視的に分析した。【対象と方法】対象は平成27年度にがんリハ...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2016; p. 197
Main Authors 原, 羊一, 梅野, 裕昭, 麓, 祥一, 古原, 岳雄, 七森, 和久, 中川, 慎也, 内田, 雄三, 錦, 耕平, 丸山, 達也, 清水, 道晃, 金澤, 藍, 中野, 良子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2016
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2016.0_197

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Summary:【はじめに】がんの集学的治療においては、手術療法、化学療法、放射線療法などの直接的治療に併せ、看護師、薬剤師、MSW、栄養士、リハセラピストなど多職種連携によるチーム医療が重要である。その中で、がんの進行や治療の副作用で生じる様々な障害に対し、運動機能・生活機能低下の予防、改善を目的としたリハセラピストの役割は重要である。当院においては、平成27年6月より「がんのリハビリテーション(がんリハビリ)」を導入し、これまでに、理学療法士3名、作業療法士2名、言語聴覚士1名が指定研修を受講している。今回、導入後1年のがんリハビリの処方状況を後方視的に分析した。【対象と方法】対象は平成27年度にがんリハビリの処方を受けた91名(男性60名、女性31名)である。延べ処方件数は182件。平均年齢は70.5歳。対象症例について、がんの種類、がんのリハビリ算定要件による治療内容の整理を行った。また、リハ介入前後でのPerformance Status(PS)の変化を検討した。【結果】がんの種類では、食道がん47名(52%)、大腸がん25名(27%)、胃がん11名(12%)、乳がん6名、膵臓がん1名、胆管がん1名であった。がんリハビリ対象者の治療内容では、手術療法が27名(29.6%:大腸がん17名、胃がん7名、乳がん3名)、化学療法が53名(58.2%食道がん43名、大腸がん4名、胃がん3名、乳がん1名、膵臓がん1名、胆管がん1名)であった。食道がん43名(47%)においては、28名が術前化学療法症例であった。また、在宅復帰を目的とした進行がん症例が11名(12.2%:食道がん4名、大腸がん4名、胃がん1名、乳がん1名)であった。リハ介入前後でのPSの変化では向上8名、維持65名、低下18名であった。【考察とまとめ】当院のがんリハビリの処方では、食道、胃、大腸の消化器がんが90%以上を占め特に食道がん化学療法が47%と高かった。化学療法では、骨髄抑制、食欲不振、嘔気、倦怠感など高度有害事象を生じやすく、「がんのリハビリテーションガイドライン」おいても高い推奨グレードが示され、積極的なリハ介入が必要と考える。更に消化器がん患者においては食欲不振に伴う低栄養の対象も少なくなく、運動療法に伴うエネルギー消費を配慮すれば栄養士との連携は欠かせない。一方、PSにおいては80%が維持・向上できており、リハ介入が対象者の治療の一助になったと考える。当院においてがんリハビリ導入後約1年が経過し、効果的ながんリハビリを実践するために多職種連携の重要性を実感している。幸い当院では、導入当初よりがんリハカンファレンスを週1回開催しており有機的に機能している。今後もがん治療の一翼を担えるようリハの充実を図りたい。【倫理的配慮,説明と同意】本演題は当院の倫理規定に従い実施した。
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2016.0_197