巣状分節性糸球体硬化症の腎移植後再発リスク因子に関する検討
【背景】巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の腎移植後再発リスク因子として遺伝子変異がないことと前回移植で再発したことが指摘されているが、他のリスク因子は確立していない。近年、初発時のステロイド感受性が移植後再発リスク因子であることが報告されているが、遺伝子解析を施行された例における十分な症例数の検討はされていない。【方法】2002年1月から2018年3月に腎移植を実施した小児FSGSで、既知の66個のFSGS関連遺伝子に病的変異のない18例を対象とし、移植後FSGS再発のリスク因子を後方視的に検討した。二次性FSGSや遺伝子解析を施行していない例は除外した。ステロイドまたは免疫抑制薬への反応は...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 356_2 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2020
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.55.Supplement_356_2 |
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Summary: | 【背景】巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の腎移植後再発リスク因子として遺伝子変異がないことと前回移植で再発したことが指摘されているが、他のリスク因子は確立していない。近年、初発時のステロイド感受性が移植後再発リスク因子であることが報告されているが、遺伝子解析を施行された例における十分な症例数の検討はされていない。【方法】2002年1月から2018年3月に腎移植を実施した小児FSGSで、既知の66個のFSGS関連遺伝子に病的変異のない18例を対象とし、移植後FSGS再発のリスク因子を後方視的に検討した。二次性FSGSや遺伝子解析を施行していない例は除外した。ステロイドまたは免疫抑制薬への反応は初期治療またはその後の治療により蛋白尿が50%以上減少かつ尿蛋白クレアチニン比2 g/g未満になったものと定義した。【結果】再発は9例(50%)にみられ、再発群と非再発群で性別、発症年齢、浮腫の有無、末期腎不全に至るまでの期間、透析期間、術前予防処置の有無、固有腎摘出の有無に有意差はなかった。ステロイドまたは免疫抑制薬に反応のあった12例のうち9例(75%)が移植後再発したのに対し、反応のなかった6例では再発がなかった(0%)(p =0.0045)。【結論】既知のFSGS関連遺伝子に病的変異のない症例において、ステロイドまたは免疫抑制薬に反応のあることが腎移植再発と有意に関連した。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.55.Supplement_356_2 |