献腎移植長期待機患者における事前評価の取り組み

【背景】献腎移植待機期間は約14年8ヶ月と長期に渡るが,その間の評価は各施設の判断に委ねられている.当院では年1回の合同診察会という形式で登録更新の診察業務としていたが,レシピエント候補となった際の状態把握に難渋することもあった.こういった状況から2013年頃から長期待機者を対象に,一般外来枠での事前評価を開始したのでこの取り組みについて報告する.【結果】2020年6月末時点で当院の待機患者は137名,そのうち2020年で登録年数10年以上となる33例を対象とした.受診率は93.9%(31/33)で,既往症は悪性腫瘍4例(12.1%),心血管疾患6例(18.2%),抗血栓薬内服13例(39.4...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 257_1
Main Authors 宮田, 昭, 山永, 成美, 田中, 康介, 横溝, 博, 杉本, 美保, 日高, 悠嗣, 椛, 朱梨, 豊田, 麻理子, 稲留, 彰人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_257_1

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Summary:【背景】献腎移植待機期間は約14年8ヶ月と長期に渡るが,その間の評価は各施設の判断に委ねられている.当院では年1回の合同診察会という形式で登録更新の診察業務としていたが,レシピエント候補となった際の状態把握に難渋することもあった.こういった状況から2013年頃から長期待機者を対象に,一般外来枠での事前評価を開始したのでこの取り組みについて報告する.【結果】2020年6月末時点で当院の待機患者は137名,そのうち2020年で登録年数10年以上となる33例を対象とした.受診率は93.9%(31/33)で,既往症は悪性腫瘍4例(12.1%),心血管疾患6例(18.2%),抗血栓薬内服13例(39.4%)だった.またHCV抗体陽性者のうちSVRは5例中4例(80%)だった.検査は心臓超音波23例(69.7%),ABI 27例(81.8%),CT 29例(87.9%)と心・血管評価の施行は高率だったが,上部・下部内視鏡検査や腹部エコーは50%前後だった.【考察】事前評価によりネットワークからの連絡に迅速な対応ができる一方,検査項目・頻度など一定の見解はない.また一般的ながん検診は各自での受診を促すに留めており施行率が低かった.【結語】献腎待機者は長期透析で様々な合併症を持ち,移植にあたってハイリスクである.事前評価と移植前から患者本人や透析施設と連携を取ることで安全な移植が可能と思われる.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_257_1