血縁HLA半合致造血細胞移植後のGVHD/GVL効果の制御

HLA半合致同種造血細胞移植(以下、HLA半合致移植)では、HLAの不一致が複数存在するため、HLA一致移植の場合と比して、GVL効果が高いのではないか、という期待が少なからずある。実際、いくつか既報告において、HLA半合致移植は、HLA一致血細胞移植に比べると、再発率が低いとする報告があるが、結論は出ていない。一方、HLA半合致移植はHLAの不一致により、重症GVHDが発症するリスクが高く、歴史的にもGVHD/GVL効果の制御は困難なものであった。 近年、移植後に大量シクロホスファミド(PT/Cy)を用いることで、HLA半合致移植を比較的安全に施行できることが分かり、世界的に広がりを見せてい...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 314_1
Main Author 中前, 博久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_314_1

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Summary:HLA半合致同種造血細胞移植(以下、HLA半合致移植)では、HLAの不一致が複数存在するため、HLA一致移植の場合と比して、GVL効果が高いのではないか、という期待が少なからずある。実際、いくつか既報告において、HLA半合致移植は、HLA一致血細胞移植に比べると、再発率が低いとする報告があるが、結論は出ていない。一方、HLA半合致移植はHLAの不一致により、重症GVHDが発症するリスクが高く、歴史的にもGVHD/GVL効果の制御は困難なものであった。 近年、移植後に大量シクロホスファミド(PT/Cy)を用いることで、HLA半合致移植を比較的安全に施行できることが分かり、世界的に広がりを見せている。PT/Cyを用いたHLA半合致移植(PT/Cy-haplo)症例の解析や、他の移植方法との比較研究によって、HLA半合致移植後のGVHD/GVL効果の制御の機序詳細が分かってきている。とくに、PT/Cy-haploにおいては、移植後に保持される、制御性T細胞のGVHDの制御への関与が大きいことが判明してきた。一方、GVL効果においては、T細胞除去HLA半合致造血細胞移植やPT/Cy-haploにおいては、NK細胞の寄与が大きいとする報告が複数ある。今回のシンポジウムでは、最新の知見をもとにHLA半合致移植後のGVHD/GVL効果の制御について考察を行う。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_314_1