腎移植自験例におけるsolid phase assayの実態とcaABMRの治療成績

【諸言】同種抗原に対する抗体が移植腎の予後を損なうことが明らかとなっている。近年抗体の検出が広く行われるようになり、拒絶反応の治療成績向上が期待されている。【対象、目的と方法】2002年1月から2020年12月までに実施された111腎移植自験例(5死体/106生体ドナー)のうち抗HLA抗体のスクリーニング検査を行った72例を対象とした。教室では、抗HLA抗体および移植腎生検の所見と併せて拒絶反応の診断を行い、方針を立てている。自験例における診断と治療経過を後方視的に調査し、成績を検討することを目的とした。【結果】生体ドナー移植106の中に5例の二次移植が含まれていた。自験腎移植のうち72例にお...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s529
Main Authors 吉武, 理, 杉山, 元紀, 天野, 悟志, 加藤, 容二郎, 青木, 武士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s529

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Summary:【諸言】同種抗原に対する抗体が移植腎の予後を損なうことが明らかとなっている。近年抗体の検出が広く行われるようになり、拒絶反応の治療成績向上が期待されている。【対象、目的と方法】2002年1月から2020年12月までに実施された111腎移植自験例(5死体/106生体ドナー)のうち抗HLA抗体のスクリーニング検査を行った72例を対象とした。教室では、抗HLA抗体および移植腎生検の所見と併せて拒絶反応の診断を行い、方針を立てている。自験例における診断と治療経過を後方視的に調査し、成績を検討することを目的とした。【結果】生体ドナー移植106の中に5例の二次移植が含まれていた。自験腎移植のうち72例においてスクリーニング検査を行い、15例で陽性の所見を得た(全て生体ドナー)。DSA/NDSA陽性例はそれぞれ9/14で、13例において生検を実施し、7例において活動性抗体関連拒絶(慢性6/急性1)と診断された。治療はステロイドパルス単独治療が1例、ステロイドパルスに血漿交換を加えた治療が6例であった。7例のうち、1 例が移植腎機能廃絶に至った。【考察】現在、慢性活動性抗体関連拒絶に対する有効な治療法は確立されていない。抗体産生の有無、推移を元に免疫反応を制御し、移植腎の予後に寄与することが期待されるが、現在可能な治療では予後を向上させる効果は限定的である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s529