カドミウムとリポ多糖によるヒト歯肉および歯根膜由来線維芽細胞からの炎症性サイトカインとプロスタグランジンE_2の放出
成人歯肉由来および歯根膜由来線維芽細胞におけるカドミウム(Cd)とリポ多糖(LPS)による炎症性サイトカイン(IL-1β,IL-6,IL-8)およびプロスタグランジンE_2(PGE_2)の放出に関して検討した.あわせて,喫煙者および非喫煙者における刺激唾液中のCd濃度を測定し,喫煙によるそれらの影響を検討した.Cdの48時間作用時でIL-6,IL-8およびPGE_2濃度は,両細胞ともに10^<-3>mM Cd濃度群で最も上昇した.CdとLPS混合添加の12時間作用時でIL-6およびIL-8は,成人歯肉由来線維芽細胞において10^<-8>mM Cdおよび10^<-7...
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Published in | JOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 54; no. 5; pp. 528 - 538 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 口腔衛生学会
2004
Japanese Society for Oral Health |
Subjects | |
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ISSN | 0023-2831 2189-7379 |
DOI | 10.5834/jdh.54.5_528 |
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Summary: | 成人歯肉由来および歯根膜由来線維芽細胞におけるカドミウム(Cd)とリポ多糖(LPS)による炎症性サイトカイン(IL-1β,IL-6,IL-8)およびプロスタグランジンE_2(PGE_2)の放出に関して検討した.あわせて,喫煙者および非喫煙者における刺激唾液中のCd濃度を測定し,喫煙によるそれらの影響を検討した.Cdの48時間作用時でIL-6,IL-8およびPGE_2濃度は,両細胞ともに10^<-3>mM Cd濃度群で最も上昇した.CdとLPS混合添加の12時間作用時でIL-6およびIL-8は,成人歯肉由来線維芽細胞において10^<-8>mM Cdおよび10^<-7>mM Cd濃度と各LPS混合群で著しく上昇した.これに対し,IL-1βは,成人歯肉由来および歯根膜由来線維芽細胞において検出されなかった.また,成人歯根膜由来線維芽細胞のIL-6,IL-8およびPGE_2濃度は,成人歯肉由来線維芽細胞に比べ低値であった.さらに,刺激唾液中のCd濃度は,非喫煙者に比べ喫煙者で有意に高かった.以上より,本実験で用いた成人歯肉由来および歯根膜由来線維芽細胞は,Cd曝露によりIL-6,IL-8およびPGE_2を放出することが明らかにされ,成人歯肉由来線維芽細胞では,CdとLPS混合添加でIL-6およびIL-8の放出が増大することが示された.また,タバコ中Cdは歯周組織に影響を与えることが示唆された. |
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ISSN: | 0023-2831 2189-7379 |
DOI: | 10.5834/jdh.54.5_528 |