膵移植長期成績向上のために~名古屋第二赤十字病院の経験から

当院のこれまでの脳死ドナーからの膵移植症例29例の検討を行うと、周術期になんらかの合併症を認めた症例は19/29例(65.5%)と膵移植では、周術期に合併症を生じる可能性が高いことが分かる。なかでも周術期に重症合併症を認めたのは9/29例(31.0%)であった。膵臓graft lossとなったのは、これまでに3例を認めているが、すべて周術期に重症合併症を認めた3/9例(33.3%)である。その他の26/29例(66.7%)の膵graftは維持されている。そのため、周術期に重症合併症を生じた場合に、膵臓graft lossとなりやすいと考えられる。膵移植の長期成績を向上させるためには、まず、周術...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s476
Main Authors 平光, 高久, 二村, 健太, 後藤, 憲彦, 友杉, 俊英, 渡井, 至彦, 鳴海, 俊治, 一森, 敏弘, 岡田, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s476

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Summary:当院のこれまでの脳死ドナーからの膵移植症例29例の検討を行うと、周術期になんらかの合併症を認めた症例は19/29例(65.5%)と膵移植では、周術期に合併症を生じる可能性が高いことが分かる。なかでも周術期に重症合併症を認めたのは9/29例(31.0%)であった。膵臓graft lossとなったのは、これまでに3例を認めているが、すべて周術期に重症合併症を認めた3/9例(33.3%)である。その他の26/29例(66.7%)の膵graftは維持されている。そのため、周術期に重症合併症を生じた場合に、膵臓graft lossとなりやすいと考えられる。膵移植の長期成績を向上させるためには、まず、周術期に合併症を避けること、もしくは合併症が生じても適切に処置することが望まれる。周術期に合併症を避けるためには、ドナーのPDRI、レシピエントの手術適応を術前に十分に検討する必要がある。また、合併症に対して適切に処置するためには、十分な経験が必要と考えらる。以上につき、当院での膵移植成績、これまでの症例経験などを含めて検討したい。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s476