当科での生体腎移植ドナーのフォローアップの現状

生体腎移植におけるドナーの腎機能保持のため、提供後も継続的な管理が必要である。腎移植臨床登録集計報告では、2009年から生体腎ドナーの追跡調査が始まっているが、追跡率は7年で76%であり十分な追跡ができていないのが現状である。当科では1990年から2020年12月まで 117例の生体腎移植を施行し、2021年3月の時点でのドナーフォロー状況を調査した。結果)117例のうち、死亡した症例は6例、生存確認できた症例は 109例であった。フォロー不可となったのは2例で、1例目は、レシピエントが他院でフォローとなり、レシピエントの死亡により音信不通となり、2例目は夫婦間移植で、移植後離婚したためドナー...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s472
Main Authors 竹中, 政史, 長谷川, みどり, 日下, 守, 佐々木, ひと美, 河合, 昭浩, 市野, 学, 白木, 良一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s472

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Summary:生体腎移植におけるドナーの腎機能保持のため、提供後も継続的な管理が必要である。腎移植臨床登録集計報告では、2009年から生体腎ドナーの追跡調査が始まっているが、追跡率は7年で76%であり十分な追跡ができていないのが現状である。当科では1990年から2020年12月まで 117例の生体腎移植を施行し、2021年3月の時点でのドナーフォロー状況を調査した。結果)117例のうち、死亡した症例は6例、生存確認できた症例は 109例であった。フォロー不可となったのは2例で、1例目は、レシピエントが他院でフォローとなり、レシピエントの死亡により音信不通となり、2例目は夫婦間移植で、移植後離婚したためドナーと連絡がとれなくなった。生存確認できた110例のうち、1症例で透析導入となった(腎提供後13年他院フォローアップ)。2年以内に病院受診や検診を受けていない症例は7例あり、検査を受けていない理由は、すべてドナー判断によるものであった。当科では、ドナーの腎提供の経過後、1)術後3ヶ月までは1ヶ月に1度の受診、2)以後半年に一度の受診、3)併存症が存在する場合は3ヶ月に1度の受診等を基本方針とし、レシピエントと共に受診することも推奨してきた。今回の調査では、99%のドナーのフォローアップが可能であったが、レシピエントとの関係性によりフォロー不可となった症例もあり、今後はレシピエントとの関係構築にかかわらず受診の必要性をさらに強化するべきと考えられた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s472