がん対策のための戦略研究 超音波による乳癌検診

公的施策として行う対策型のがん検診は,死亡率減少効果の科学的根拠が明確であることが前提とされている。乳癌検診において科学的根拠を有するのはマンモグラフィのみであり,欧米で行われたランダム化比較試験の結果に基づいたものである。マンモグラフィ検査は乳腺密度が高い乳房での検診精度が低い。高濃度乳房は50歳未満に多く,欧米人より日本人に多い。 一方,超音波検査は高濃度乳房での乳癌検出精度が高いことから,乳癌検診に導入する試みが始まっている。しかし,機器の仕様や検査および読影技術は標準化されておらず,超音波検査を用いた検診の精度および有効性も検証されていない。そこで,厚生労働省は,戦略的アウトカム研究(...

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Published in日本乳癌検診学会誌 Vol. 17; no. 1; pp. 15 - 21
Main Authors 石田, 孝宣, 大内, 憲明, 櫻井, 遊, 河合, 賢朗, 成川, 洋子, 鈴木, 昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会 30.03.2008
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ISSN0918-0729
1882-6873
DOI10.3804/jjabcs.17.15

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Summary:公的施策として行う対策型のがん検診は,死亡率減少効果の科学的根拠が明確であることが前提とされている。乳癌検診において科学的根拠を有するのはマンモグラフィのみであり,欧米で行われたランダム化比較試験の結果に基づいたものである。マンモグラフィ検査は乳腺密度が高い乳房での検診精度が低い。高濃度乳房は50歳未満に多く,欧米人より日本人に多い。 一方,超音波検査は高濃度乳房での乳癌検出精度が高いことから,乳癌検診に導入する試みが始まっている。しかし,機器の仕様や検査および読影技術は標準化されておらず,超音波検査を用いた検診の精度および有効性も検証されていない。そこで,厚生労働省は,戦略的アウトカム研究(第3次対がん総合戦略研究事業)として,がん対策のための戦略研究「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験」を企画した。 本研究は,40~49歳女性を対象とする乳癌検診の方法として,マンモグラフィ検査に超音波検査を併用する群(介入群)と併用しない群(非介入群)との間で,その精度と有効性を検証するための研究である。目標受診者数は各群6万人,両群で12万人であり,わが国では前例のない大規模臨床試験である。
ISSN:0918-0729
1882-6873
DOI:10.3804/jjabcs.17.15