国立循環器病研究センターにおける心臓移植後急性細胞性拒絶反応の経験とスクリーニング法の検討

急性細胞性拒絶反応(ACR)は心臓移植後の主要な合併症であるが、病初期には無症状かつ非侵襲検査で特異的所見が得られづらく、定期的な心内膜心筋生検による評価が必要である。一般に遠隔期にはACRによる死亡頻度は低下するとされているが、適切な生検頻度などスクリーニング法について明確なエビデンスに乏しい。今回我々は当院でのACRの実態を後方視的に解析したので報告する【対象と方法】対象は1999年5月から2020年4月までに当院で心臓移植を受けた移植時18歳以上の129症例(男性74%、移植時年齢41.8±12.9歳、観察期間7.4±5.0年)。現在の心筋生検のスケジュールは1,2,3,5,7,11週目...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s106
Main Authors 瀨口, 理, 池田, 善彦, 福嶌, 五月, 大郷, 恵子, 下島, 正也, 畠山, 金太, 渡邉, 琢也, 塚本, 泰正, 望月, 宏樹, 羽田, 祐, 藤田, 知之, 福嶌, 教偉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s106

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Summary:急性細胞性拒絶反応(ACR)は心臓移植後の主要な合併症であるが、病初期には無症状かつ非侵襲検査で特異的所見が得られづらく、定期的な心内膜心筋生検による評価が必要である。一般に遠隔期にはACRによる死亡頻度は低下するとされているが、適切な生検頻度などスクリーニング法について明確なエビデンスに乏しい。今回我々は当院でのACRの実態を後方視的に解析したので報告する【対象と方法】対象は1999年5月から2020年4月までに当院で心臓移植を受けた移植時18歳以上の129症例(男性74%、移植時年齢41.8±12.9歳、観察期間7.4±5.0年)。現在の心筋生検のスケジュールは1,2,3,5,7,11週目4.5,6,9ヶ月目、2年まで2/年、10年まで1/年、それ以後1/ 2年で免疫維持療法はタクロリムス(Tac)(2005年以前はシクロスポリン(Cys))、ミコフェノール酸モフェティル、プレドニゾロンである。腎機能低下、高齢、抗ドナー抗体陽性例等でバキリキシマブを使用。【結果】129例中13例にGrade 2R以上のACRを認めた。心不全発症は抗体関連拒絶も合併したGrade 2Rの1例(術後3.5年)のみで、全例で治癒しACRによる死亡例は認めなかった。Grade 2R以上ACR発症症例は移植後3ヶ月未満0%、3-6ヶ月2.3%、6ヶ月-1年2.4%、1-3年4.2%、3-5年4.3%、5-10年3.3%、10年以上0%であった。手術後初回カルシニューリン阻害薬がCysであった15症例ではACR発症頻度が40%とTac症例(114症例、ACR6.1%)に比して有意に高頻度であった(p<0.05)。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s106