1QALY獲得に対する最大支払い意思額に関する研究
目 的:医療や公衆衛生における費用対効果分析における政策意思決定では,社会における1単位のQALYを獲得するためのWTPの情報が不可欠である。日本では先駆的な調査があるが,それは直接法でされており,問題が多い。本稿では先行研究と同じ目的を,コンジョイント分析を用いて行う。 対象と方法:2005年度に全国において実施された調査における回答を分析した。調査は,772世帯から回収を得た(回収率88%)。分析対象者は20歳以上の成人1,297人である。質問では,経済社会的属性に加えて,仮想的な費用,期間,患者数,健康状態での医療を賛成するかどうかをコンジョイント分析で行う。また,推定式における説明...
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Published in | 医療と社会 Vol. 16; no. 2; pp. 157 - 165 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 医療科学研究所
2006
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-9202 1883-4477 |
DOI | 10.4091/iken.16.157 |
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Summary: | 目 的:医療や公衆衛生における費用対効果分析における政策意思決定では,社会における1単位のQALYを獲得するためのWTPの情報が不可欠である。日本では先駆的な調査があるが,それは直接法でされており,問題が多い。本稿では先行研究と同じ目的を,コンジョイント分析を用いて行う。 対象と方法:2005年度に全国において実施された調査における回答を分析した。調査は,772世帯から回収を得た(回収率88%)。分析対象者は20歳以上の成人1,297人である。質問では,経済社会的属性に加えて,仮想的な費用,期間,患者数,健康状態での医療を賛成するかどうかをコンジョイント分析で行う。また,推定式における説明変数,割引率,健康状態のQOL評価で感度分析を行う。 結 果:全ての場合総費用は負で有意,獲得するQALYは正で有意である。QALYあたりWTPは,635~670万円である。所得によるQALYあたりWTPへの影響は確認されない。 考 察:本稿で求められたQALYあたりのWTPは先行研究よりもやや高いが,大きく変わらなかったことは特筆に値する。これは,QALYあたりのWTPがほぼ600~700万円であるとする根拠が頑健であることが示唆される。 |
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ISSN: | 0916-9202 1883-4477 |
DOI: | 10.4091/iken.16.157 |