腎移植前後に下部尿路機能障害への介入を要した10例の検討
【背景】小児腎移植において下部尿路機能障害の管理は移植腎機能に大きな影響を与える。【対象・方法】1995年から2020年に当院で腎移植を施行され、下部尿路障害への介入を要した10例を後方視的に検討した。データは中央値(四分位範囲)で示した。【結果】移植時年齢は10.1(7.4-13.5)歳で男女比は8:2、生体腎移植が8例であった。7例が移植前に腹膜透析を受けていた。原疾患(重複あり)は膀胱尿管逆流6例、低形成腎3例、後部尿道弁4例、水腎症4例であった。下部尿路機能障害は後部尿道弁等による低コンプライアンス膀胱5例、神経因性膀胱4例、廃用膀胱1例であった。保存期に4例で尿管皮膚瘻、1例で膀胱皮...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s517 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
The Japan Society for Transplantation |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.56.Supplement_s517 |
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Summary: | 【背景】小児腎移植において下部尿路機能障害の管理は移植腎機能に大きな影響を与える。【対象・方法】1995年から2020年に当院で腎移植を施行され、下部尿路障害への介入を要した10例を後方視的に検討した。データは中央値(四分位範囲)で示した。【結果】移植時年齢は10.1(7.4-13.5)歳で男女比は8:2、生体腎移植が8例であった。7例が移植前に腹膜透析を受けていた。原疾患(重複あり)は膀胱尿管逆流6例、低形成腎3例、後部尿道弁4例、水腎症4例であった。下部尿路機能障害は後部尿道弁等による低コンプライアンス膀胱5例、神経因性膀胱4例、廃用膀胱1例であった。保存期に4例で尿管皮膚瘻、1例で膀胱皮膚瘻が造設された。腎移植前の処置として、3例で膀胱拡大術、6例で自己腎摘出・尿管皮膚瘻摘出が施行された。腎移植手術時または周術期に1例で膀胱皮膚瘻が造設、1例SJステント留置、2例で間欠的自己導尿(CIC)が導入された。腎移植後、2例で膀胱皮膚瘻が造設され、3例で膀胱拡大術が施行または予定された。移植後観察期間は7.3年、eGFR 63mL/分/1.73m2であった。2例が怠薬や拒絶反応のためグラフトロスとなった。尿禁制が得られているのは7例で、うち5例がCICを継続している。【結論】移植前後で下部尿路機能障害を評価し、膀胱拡大術を含めた尿路変更術またはCICが導入された。移植前の余裕をもった精査・介入と経時的な下部尿路機能障害の評価の重要性が改めて認識された。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.Supplement_s517 |