中国の小学校低学年における道徳教育の変容-「思想品徳」から「品徳と生活」への転換に着目して

本研究は、中国の小学校における道徳教育の特質と現代的課題を解明するために、「思想品徳」から「品徳と生活」への転換に着目しながら、中国の小学校における道徳教育の内容の変容について検討した。本稿では、小学校の道徳教育の基礎に当たる低学年について考察した。考察の結果、次のことが明らかになった。すなわち、『課程標準』に関して言えば、大きくは日本の視点と類似点も見られるが、中国の小学校低学年における道徳教育は、教師が行動や型を児童に一方的に押し付け、道徳的価値を単なる知識や行為として教えこもうとしている道徳教育から、児童のよい道徳性と習慣を育成させ、生活に情熱を持つように導くという道徳教育へ転換している...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in道徳と教育 no. 333; p. 17
Main Author 那, 楽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本道徳教育学会 2015
Online AccessGet full text
ISSN0288-7797
2435-1199
DOI10.34346/doutokutokyouiku.0.333_17

Cover

More Information
Summary:本研究は、中国の小学校における道徳教育の特質と現代的課題を解明するために、「思想品徳」から「品徳と生活」への転換に着目しながら、中国の小学校における道徳教育の内容の変容について検討した。本稿では、小学校の道徳教育の基礎に当たる低学年について考察した。考察の結果、次のことが明らかになった。すなわち、『課程標準』に関して言えば、大きくは日本の視点と類似点も見られるが、中国の小学校低学年における道徳教育は、教師が行動や型を児童に一方的に押し付け、道徳的価値を単なる知識や行為として教えこもうとしている道徳教育から、児童のよい道徳性と習慣を育成させ、生活に情熱を持つように導くという道徳教育へ転換していることが分かる。教科書に関して言えば、中国の小学校低学年における道徳教育は、児童の立場から、相手への尊重や思いやりから価値についての自覚を内的に深め、道徳の大切さを理解させる道徳教育と考えられる。
ISSN:0288-7797
2435-1199
DOI:10.34346/doutokutokyouiku.0.333_17