自閉症スペクトラム障害のある児童の授業参加促進に関する事例検討 授業中の姿勢保持に対する視覚的フィードバックの効果

近年、適切な姿勢で長時間座り続けることが難しい児童が増加していることが指摘されている。不適切な姿勢は叱責や注意の対象となりやすいが、特に発達障害のある児童については、家庭と学校の双方において注意されたり叱責されたりする機会が増加することによって、他者への攻撃行動や学校不適応などの二次障害が助長される可能性がある。そのため、学習時の着座姿勢の保持など、正しい姿勢についての具体的行動に焦点を当てた指導が求められる。そこで本研究では、特別支援学級に在籍する自閉症スペクトラム障害のある1年生児童2名に対し、学習時の着座姿勢の保持に焦点を当てて、視覚的な教示とフィードバックを用いて授業参加を促進すること...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in自閉症スペクトラム研究 Vol. 20; no. 1; pp. 25 - 34
Main Authors 松下, 浩之, 清沢, 梓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会 30.09.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1347-5932
2434-477X
DOI10.32220/japanacademyofas.20.1_25

Cover

More Information
Summary:近年、適切な姿勢で長時間座り続けることが難しい児童が増加していることが指摘されている。不適切な姿勢は叱責や注意の対象となりやすいが、特に発達障害のある児童については、家庭と学校の双方において注意されたり叱責されたりする機会が増加することによって、他者への攻撃行動や学校不適応などの二次障害が助長される可能性がある。そのため、学習時の着座姿勢の保持など、正しい姿勢についての具体的行動に焦点を当てた指導が求められる。そこで本研究では、特別支援学級に在籍する自閉症スペクトラム障害のある1年生児童2名に対し、学習時の着座姿勢の保持に焦点を当てて、視覚的な教示とフィードバックを用いて授業参加を促進することの有効性について検討した。その結果、姿勢保持を促す環境設定と1分間間隔での細かな評価、トークンエコノミー法を用いた視覚的なフィードバックによって授業参加が促進されたことが示された。「姿勢」のみに注目して支援を実施することにより、授業参加を促すための直接的な注意や叱責を減少させる効果が期待できること、本研究の手続きの妥当性が支援者と対象児童の双方から高く評価されたことが示され、本研究で用いた手続きが特別支援学級における学習方法を工夫する上で有用である可能性が考えられた。
ISSN:1347-5932
2434-477X
DOI:10.32220/japanacademyofas.20.1_25