小児科領域におけるCefpodoxime proxetilの基礎的・臨床的検討

新経口用Cephem系抗生物質であるCefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) について基礎的・臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。 1. 抗菌力臨床分離のStaphylococcus aureus (Methicillin耐性 (MRSA), Methicillin感性), Escherichia coli (Cefazolin (CEZ) 感性, CBZ耐性), Klebsiella pneumoniae (CEZ感性, CEZ耐性), Proteus mirabilis, Enterobacter cloacaeに対するMICをR-3746 (CPDX...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 42; no. 7; pp. 1519 - 1546
Main Authors 堀, 誠, 山崎, 美喜雄, 今井, 祐之, 福島, よし子, 小泉, 満男, 杉田, 守正, 豊永, 義清, 高橋, 孝行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 25.07.1989
Online AccessGet full text
ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.42.1519

Cover

More Information
Summary:新経口用Cephem系抗生物質であるCefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) について基礎的・臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。 1. 抗菌力臨床分離のStaphylococcus aureus (Methicillin耐性 (MRSA), Methicillin感性), Escherichia coli (Cefazolin (CEZ) 感性, CBZ耐性), Klebsiella pneumoniae (CEZ感性, CEZ耐性), Proteus mirabilis, Enterobacter cloacaeに対するMICをR-3746 (CPDXのNa塩), Cefaclor (CCL), Cephalexin, Cefroxadine (CXD), CEZ, Cephalothin (CET) 及びAmoxicillin (AMPC) について検討した。MRSA及びCEZ耐性E. coli, K. pneumoniaeはCXD, CETを, E. cloacaeに対してはAMPCを除き検討した。すべて, 100倍希釈液接種にて検討を加えた結果, R-3746はS. aureusについては, AMPCが若干優れていた以外は他の経口剤よりも, 優れた成績を示し, MICピークはS. aureus, E. coli, K. pneumoniae, P. mirabilisでは1.56μg/ml, 0.39μg/ml, ≤0.10μg/ml, ≤0.10μg/mlであった。MRSAに対しては, 25μg/ml以上のMICを示す株が23株 (77%) あったが, CCL, AMPCとほぼ同様のMIC分布を示していた。CEZ耐性のE. coli及びK. pneumoniaeに対しても, 他剤よりも優れた抗菌力を示し, MIC50はいずれも0.20μg/mlであった。E. cloacaeに対するMIC分布は若干高いMICを示す株が多く, 0.78~100μg/mlであったが, そのMIC50は12.5μg/mlで, 従来の経口用Cephem系抗生物質がほとんど100μg/ml以上の高度耐性であるのに比べ優っていた。 2. 吸収, 排泄 今回, 3mg/kg, 6mg/kg, 100mg錠剤について, CPDXの血清中, 尿中濃度推移を検討した。 食後投与時のCmax, Tmaxが高いという特徴は得られなかったが, それぞれ, 1~6時間, 1~4時間, 2~6時間にピークを示し, 0.99~2.99μg/ml, 4.30~7.05μg/ml, 1.65~2.93μg/mlであり, 8時間でもそれぞれ平均値で, 0.31μg/ml, 0.83μg/ml, 0.66μg/mlであった。AUCもそれぞれ平均値で8.16μg・hr/ml, 25.97μg・hr/ml, 10.79μg・hr/mlとかなり大きいものであり, 空腹時投与と食後投与で差はなかった。尿中回収率は8時間までに, それぞれ20.9~56.5%, 28.3~49.7%, 35.1~50.4%であり, 従来のいわゆる第3群のCephem系抗生物質よりも若干低い回収率を示した。 3. 臨床成績本剤を上気道感染症 (咽頭炎2例, 扁桃炎19例) 21例, 下気道感染症 (気管支炎2例, 肺炎12例) 14例, 猩紅熱6例, 皮膚軟部組織感染症9例, 尿路感染症9例, 急性中耳炎1例の計60例 (含む扁桃炎, 尿路感染症合併例1例) 中, 有効以上の成績を示したものは54例で, その有効率は90%であった。細菌学的に本剤投与前に検出された起因菌あるいは原因菌の経過を追い, 検索が可能であったものは42株で, そのうち40株に有効, 2株に無効であった。その細菌学的有効率は95.2%であった。なお, 副作用, 検査値異常は全例に認めなかった。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.42.1519