外科的重症感染症に対するIntactガンマグロブリン製剤(SM-4300)の臨床的効果の検討

最近, 術後の重症細菌感染に対して, 抗生剤に加えて, ガンマグロブリン製剤を併用することが多い。ガンマグロブリンは, 細菌やウイルスに対して幅広い抗体活性を有しており, 免疫能の低下している高齢者や担癌患者に, 抗生剤と併用して投与することにより, 有用性が高いことが認められている1~4)。 免疫グロブリンは, 初期には筋注用製剤が使用されたが, 大量投与が不可能であり, 血中濃度が上昇しないこと等により, 静注用製剤の必要性が生じた。しかし, ガンマグロブリン静注に際して, アナフィラキシー様反応が発現することが知られ, より安全な静注用ヒト免疫グロブリン製剤の開発が進められ, ペプシン処...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 38; no. 9; pp. 2683 - 2687
Main Authors 藤野, 昇, 酒本, 喜与志, 松田, 正和, 赤木, 正信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 1985
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.38.2683

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Summary:最近, 術後の重症細菌感染に対して, 抗生剤に加えて, ガンマグロブリン製剤を併用することが多い。ガンマグロブリンは, 細菌やウイルスに対して幅広い抗体活性を有しており, 免疫能の低下している高齢者や担癌患者に, 抗生剤と併用して投与することにより, 有用性が高いことが認められている1~4)。 免疫グロブリンは, 初期には筋注用製剤が使用されたが, 大量投与が不可能であり, 血中濃度が上昇しないこと等により, 静注用製剤の必要性が生じた。しかし, ガンマグロブリン静注に際して, アナフィラキシー様反応が発現することが知られ, より安全な静注用ヒト免疫グロブリン製剤の開発が進められ, ペプシン処理ヒト免疫グロブリンやプラスミン処理ヒト免疫グロブリンのように, 酵素処理静注用製剤が使用されるにいたつた。しかし, 酵素処理した製剤では, 静注後の半減期が短く, 且つIgGのFc活性の喪失のためグロブリンの機能が不充分となる欠点がある。近年これらの欠点を補うために, ポリエチレングリコール処理により, アナフィラキシー様反応の原因となる大分子の凝集体を除去した, Fcを欠除していないIntactなIgG製剤が開発されるにいたり, その臨床効果が期待されている5~7)。 今回, 我々はIntactガンマグロブリン製剤(SM-4300)を外科的重症細菌感染症に投与し, その効果について検討を行つたので報告する。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.38.2683