酸素療法中のCOPD患者における運動誘発性低酸素血症が自律神経活動に及ぼす影響

目的:COPD患者の運動誘発性低酸素血症(EIH)が自律神経活動に及ぼす影響を明らかにすること。方法:対象は4週間以上呼吸リハを行い,かつ酸素療法を行っているCOPD患者29名。6分間歩行試験(6MWT)中の心拍変動を周波数解析により低周波領域(LF)と高周波領域(HF)を測定し,交感神経活動の指標をLF/HF,副交感神経活動の指標をHF/(LF+HF)×100で算出したHFnuとした。6MWT中の自律神経活動,SpO2,脈拍数を安静時から終了3分まで1分毎に平均化し,6MWT中のEIHの有無で各項目を2群間比較した。結果:自律神経活動は,LH/HFは歩行終了後の1分と3分に有意に高く,逆にH...

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Published in呼吸理学療法学 Vol. 4; no. 1; pp. 12 - 20
Main Authors 髙橋, 精一郎, 川上, 慧, 大場, 健一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸理学療法学会 21.03.2025
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ISSN2436-7966
DOI10.51116/kokyurigakuryohogaku.4.1_12

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Summary:目的:COPD患者の運動誘発性低酸素血症(EIH)が自律神経活動に及ぼす影響を明らかにすること。方法:対象は4週間以上呼吸リハを行い,かつ酸素療法を行っているCOPD患者29名。6分間歩行試験(6MWT)中の心拍変動を周波数解析により低周波領域(LF)と高周波領域(HF)を測定し,交感神経活動の指標をLF/HF,副交感神経活動の指標をHF/(LF+HF)×100で算出したHFnuとした。6MWT中の自律神経活動,SpO2,脈拍数を安静時から終了3分まで1分毎に平均化し,6MWT中のEIHの有無で各項目を2群間比較した。結果:自律神経活動は,LH/HFは歩行終了後の1分と3分に有意に高く,逆にHFnuは歩行終了後の1分と3分で有意に低い値となった。SpO2は歩行2分後からEIHが有意に低値となった。結論:EIHを呈するCOPD患者は歩行中の自律神経活動に影響を及ぼさないことが明らかになった。EIHは歩行後の交感神経活動の亢進に影響していると考えられ,これは6MWT中の脈拍数やSpO2の推移とは乖離している可能性が示唆された。
ISSN:2436-7966
DOI:10.51116/kokyurigakuryohogaku.4.1_12