進行性化骨性筋炎の1症例 とくに石化人期の臨床像の特徴について

症例は41才, 男性で, 進行性化骨性筋炎の孤発例である. 幼少時より駆走は遅かつた. 9才時, 頸部と股関節の運動制限をきたし, その後も症状は進行性で, 27才時, 開口制限, 上肢の腫脹及び挙上困難が加わつた. 40才時入院. 顔貌は仮面様で姿勢は強度の前屈位を示した. 歩行は前傾小刻みであり, 起立は介助を要した. 脊柱は構築性の右凸後側轡で, 両手・膝・足関節はわずかに可動域が残つているが, 顎・全脊柱・両肩・股関節の可動性はなく, 両肘関節は屈曲位強直を示した. また, 両側母指の短縮, 小指の屈曲短縮, 母趾の外反短縮がみられた. なお, 創傷, 骨折の治癒は迅速であり, その部...

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Published in医療 Vol. 42; no. 2; pp. 140 - 144
Main Authors 有井, 敬治, 足位, 克仁, 坂東, 智子, 橋口, 修二, 乾, 俊夫, 中村, 精一, 松家, 豊, 木村, 千代美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1988
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.42.140

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Summary:症例は41才, 男性で, 進行性化骨性筋炎の孤発例である. 幼少時より駆走は遅かつた. 9才時, 頸部と股関節の運動制限をきたし, その後も症状は進行性で, 27才時, 開口制限, 上肢の腫脹及び挙上困難が加わつた. 40才時入院. 顔貌は仮面様で姿勢は強度の前屈位を示した. 歩行は前傾小刻みであり, 起立は介助を要した. 脊柱は構築性の右凸後側轡で, 両手・膝・足関節はわずかに可動域が残つているが, 顎・全脊柱・両肩・股関節の可動性はなく, 両肘関節は屈曲位強直を示した. また, 両側母指の短縮, 小指の屈曲短縮, 母趾の外反短縮がみられた. なお, 創傷, 骨折の治癒は迅速であり, その部に化骨を認めた. 本例は本症の終末期でいわゆる石化人と呼ばれる時期の症例であるが, 本邦文献上最高令に属する症例であり, 石化人期の臨床像の特徴を知る上で貴重である. また, 本例にみられる創傷治癒の促進現象は化骨過多と共に本症の病因と関連しているものと思われる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.42.140