サイアザイド系類似薬インダパミドにより低ナトリウム血症を呈した高齢女性の1例

72歳女性.高血圧症に対してCa拮抗薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬を内服中であったが,降圧不十分なためインダパミド1 mg/日が追加された.2週間後より食欲不振,全身倦怠感を自覚した.近医でNa 110 mEq/Lと著明な低Na血症を認め,当科紹介入院となった.意識は清明であったが,Na 116 mEq/L,BUN 7 mg/dL,血糖96 mg/dL,血漿浸透圧239.8 mOsm/kg・H2Oと低張性低Na血症を認めた.インダパミドによる低Na血症と考えた.インダパミドを中止し,生理食塩水の投与を実施した.入院6日目には血中Na 130 mEq/Lまで改善し,症状も消失した.サイアザ...

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Published inNippon Ronen Igakkai Zasshi. Japanese Journal of Geriatrics Vol. 62; no. 1; pp. 88 - 92
Main Authors 佐々木, 慧, 遠藤, 康弘, 中久木, 伸哉, 池脇, 克則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.01.2025
The Japan Geriatrics Society
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.62.88

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Summary:72歳女性.高血圧症に対してCa拮抗薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬を内服中であったが,降圧不十分なためインダパミド1 mg/日が追加された.2週間後より食欲不振,全身倦怠感を自覚した.近医でNa 110 mEq/Lと著明な低Na血症を認め,当科紹介入院となった.意識は清明であったが,Na 116 mEq/L,BUN 7 mg/dL,血糖96 mg/dL,血漿浸透圧239.8 mOsm/kg・H2Oと低張性低Na血症を認めた.インダパミドによる低Na血症と考えた.インダパミドを中止し,生理食塩水の投与を実施した.入院6日目には血中Na 130 mEq/Lまで改善し,症状も消失した.サイアザイド系類似薬は副作用として低Na血症を起こすことがあるが,症状は多彩で症状出現時期に個人差がある.一方で,本症例ではインダパミド内服開始後,早期に低Na血症を認め,食思不振以外の消化器症状を呈しなかったことが特徴的である.サイアザイド系類似薬を新規投与する際は低Na血症に留意し,血中Na濃度のモニタリングに加えて患者に対する適切な服薬指導が必要である.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.62.88