含歯性嚢胞を疑わしめた小児エナメル上皮腫の1例

エナメル上皮腫は, エナメル器やマラッセ上皮遺残などを発生母地とし, 外傷性あるいは炎症性の慢性刺激が加わることで発症する良性の歯原性腫瘍である1). 本疾患は若年者から中高年者にまで広く発症し, 多様な臨床所見を呈することから, 時として診断を困難なものにしている. なかでも小児期においては, その発症時期などにより臨床像はさまざまで, 診断はもとより成長, 発育を考慮した治療法の選択など難しい点も多く, 慎重かつ的確な診断が要求される. 今回われわれは, 小児の下顎大臼歯部に発生, 診断の難しさを改めて示したエナメル上皮腫の1例を経験したので, その概要を報告する. 症例 患者:13歳,...

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Published in小児口腔外科 Vol. 15; no. 2; pp. 143 - 146
Main Authors 市原, 左知子, 今井, 隆生, 中塚, 健介, 福澤, 慎也, 栗田, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児口腔外科学会 25.12.2005
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ISSN0917-5261
1884-6661
DOI10.11265/poms1991.15.143

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Summary:エナメル上皮腫は, エナメル器やマラッセ上皮遺残などを発生母地とし, 外傷性あるいは炎症性の慢性刺激が加わることで発症する良性の歯原性腫瘍である1). 本疾患は若年者から中高年者にまで広く発症し, 多様な臨床所見を呈することから, 時として診断を困難なものにしている. なかでも小児期においては, その発症時期などにより臨床像はさまざまで, 診断はもとより成長, 発育を考慮した治療法の選択など難しい点も多く, 慎重かつ的確な診断が要求される. 今回われわれは, 小児の下顎大臼歯部に発生, 診断の難しさを改めて示したエナメル上皮腫の1例を経験したので, その概要を報告する. 症例 患者:13歳, 女児. 初診:2002年11月18日. 主訴:下顎左側第二大臼歯萌出遅延. 既往歴, 家族歴:特記事項なし. 現病歴:2002年10月上旬頃より, 下顎左側臼歯部に違和感を覚えるも疼痛などないため放置していた. 症状改善がみられず近在歯科医院を受診, 回転パノラマX線写真にて下顎左側第二大臼歯の埋伏を認めたため, 精査目的にて2002年11月18日に紹介により来科した.
ISSN:0917-5261
1884-6661
DOI:10.11265/poms1991.15.143