残胃の癌の検討 自験10例を中心としての考察

残胃の癌10例を城所の提唱する分類に当てはめると, 初回良性・悪性に関係なく10年以上たつて発見された残胃癌は6例, 10年以下であるが, 初回の病変と無関係に発生したと考えられる残胃癌は2例, 初回胃癌で胃切後10年以内に吻合口あるいは縫合線上に発見された残胃再発癌は2例であつた. 平均年令は56.9才, 男性に多く, 初回手術時の診断は良性疾患5例と胃癌5例で, ブラウン吻合(-)のBillroth-II法が多く行われた. 再手術までの期間は初回良性の方が長かつた. 早期癌は内視鏡検査でのみ確診可能であつた. 残胃全摘が7例に行われ, 脾など周囲臓器合併切除が行われたものが多かつた. 切除...

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Published in医療 Vol. 43; no. 3; pp. 277 - 284
Main Authors 佐々木, 明, 竹内, 仁司, 山下, 博士, 小林, 元壮, 種本, 和雄, 田中, 寿明, 小長, 英二, 大石, 正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.43.277

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Summary:残胃の癌10例を城所の提唱する分類に当てはめると, 初回良性・悪性に関係なく10年以上たつて発見された残胃癌は6例, 10年以下であるが, 初回の病変と無関係に発生したと考えられる残胃癌は2例, 初回胃癌で胃切後10年以内に吻合口あるいは縫合線上に発見された残胃再発癌は2例であつた. 平均年令は56.9才, 男性に多く, 初回手術時の診断は良性疾患5例と胃癌5例で, ブラウン吻合(-)のBillroth-II法が多く行われた. 再手術までの期間は初回良性の方が長かつた. 早期癌は内視鏡検査でのみ確診可能であつた. 残胃全摘が7例に行われ, 脾など周囲臓器合併切除が行われたものが多かつた. 切除例中早期癌は3例, 進行癌4例で, 治癒切除例は3年1ヵ月以上生存した. 初回胃切除後より厳重な経過観察を行い, 早期癌の発見に努めるとともに, 積極的な外科切除を行えば, 残胃の癌も手術成績を向上させうるとおもわれる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.277