コロナ禍における脳死下臓器提供の経験 移植Coの立場として

COVID-19に対する緊急事態宣言発令中の北海道において、脳死下臓器提供の斡旋をおこなった。本事例では提供施設のコロナ対策に準じて予定通りに進めることができた。しかし臓器提供に係わるコロナ対策は都度、相談を要し、提供施設の負担は大きかったと推察する。そこでコロナ対策下での臓器提供プロセスの課題について検討する。提供施設は地域唯一の感染症指定医療機関であることに加え、3次救急を担っているため、コロナ感染症重症患者をゾーニングした救急病棟にドナーも入室していた。臓器提供に携わる移植Co、MC、摘出医ら院外者のPCR検査は、院内コロナ対策に基づいて、提供施設でのウイルス検査陰性を確認する必要があり...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s16
Main Authors 武山, 佳洋, 千葉, 利香, 嶋村, 剛, 原田, 浩, 高橋, 美香, 森下, 清文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s16

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Summary:COVID-19に対する緊急事態宣言発令中の北海道において、脳死下臓器提供の斡旋をおこなった。本事例では提供施設のコロナ対策に準じて予定通りに進めることができた。しかし臓器提供に係わるコロナ対策は都度、相談を要し、提供施設の負担は大きかったと推察する。そこでコロナ対策下での臓器提供プロセスの課題について検討する。提供施設は地域唯一の感染症指定医療機関であることに加え、3次救急を担っているため、コロナ感染症重症患者をゾーニングした救急病棟にドナーも入室していた。臓器提供に携わる移植Co、MC、摘出医ら院外者のPCR検査は、院内コロナ対策に基づいて、提供施設でのウイルス検査陰性を確認する必要があり、施設の検査科が全て対応した。摘出医に関しては、陰性確認のために摘出前日午後には現地入りし、ドナー家族に関しては市内在住のドナーと同居家族のため検査対象とはしていなかった。ドナー管理は徹底したコロナ対策下で行われ、移植Coも病棟入室を最小限にし、控室に準備された電子カルテによって情報を収集した。またドナー3次評価や臓器搬送においては、効率的な導線を事前に確認するなど感染リスクの低減に努めた。今後も全国的にコロナ対策は継続せざるを得ないことが予測されるため、臓器提供における院外者のPCR検査や提供施設で許容される行動など、コロナ禍での国内各地の経験を集約し、標準化することが提供施設の負担軽減につながると考える。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s16