男性高齢糖尿病患者における社会参加障壁は低栄養リスクと関連する

• Published in: Nippon Ronen Igakkai Zasshi. Japanese Journal of Geriatrics Vol. 62; no. 1; pp. 78 - 87
• Main Authors: 井田, 諭, 村田, 和也, 勝木, 啓太郎, 今高, 加奈子
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本老年医学会 25.01.2025; The Japan Geriatrics Society
• Subjects: Older people with diabetes; Social participation; Undernutrition; 低栄養; 社会参加; 高齢者糖尿病
• ISSN: 0300-9173
• DOI: 10.3143/geriatrics.62.78

目的：高齢糖尿病患者における社会参加障壁と低栄養リスクとの関連性を検証すること．方法：対象は伊勢赤十字病院外来通院中の60歳以上の糖尿病患者とした．低栄養リスクの測定にはMini Nutritional Assessment Short Formを使用し，合計得点が11点以下の場合とした．社会参加障壁の測定には10項目からなるSocial Participation Barriers in patients with Diabetes（SPBD）調査票を使用した．男女別のSPBD得点3分位（Q1～Q3）を作成し，従属変数を低栄養リスク，説明変数をSPBD得点（Q1群を基準）としたロジスティック回帰分析を行うこととした．結果：310例の患者（男性187例，女性123例）が本研究の解析対象となった．男性において，Q1を基準とした場合のQ2及びQ3の低栄養リスクに関する調整後オッズ比はそれぞれ1.56（95% confidence interval（CI），0.63～3.83；p=0.328），4.52（95% CI，1.78～11.46；p=0.001）であった．女性において，Q1を基準とした場合のQ2及びQ3の低栄養リスクに関する調整後オッズ比はそれぞれ2.87（95% CI，0.85～9.61；p=0.087），3.73（95% CI，0.88～15.82；p=0.073）であった．結論：高齢糖尿病患者を対象とした本研究の結果，男性における社会参加障壁が低栄養リスクに関連することが明らかとなった．とりわけ高血糖，糖尿病治療，及び社会参加に対する価値観による障壁が低栄養リスクに関連していた．高齢糖尿病患者における栄養の観点から，社会参加障壁に対する注意喚起が重要であると考えられた．