Cefotiamの肺組織移行性とSerrapeptaseによるその増強効果

肺癌患者を中心とした開胸手術例35名を対象に, 術前にCefotiam (CTM) を単独又はCTMにSerrapeptase (Ser) を併用して, 切除肺のCTM濃度を測定して, CTMの肺組織移行性に及ぼすSerの影響を検討した。 CTM単独群は開胸手術開始直前にCTM2gを30分で点滴静注し, CTM+Ser併用群では術前1週間からSerを1回2錠, 1日3回, 手術前日まで投与し, 手術当日はCTM単独群と同様にCTM2gを30分で点滴静注した。 CTMの血清中濃度, 肺組織 (健常部, 炎症部) 内濃度を測定した結果, 以下の結論を得た。 1. CTMの肺組織への移行性は血清中濃...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 39; no. 3; pp. 761 - 771
Main Authors 守, 純一, 和久, 宗明, 林, 永信, 井村, 价雄, 大塚, 十九郎, 徳田, 均, 沖田, 正彦, 平田, 正信, 山本, 弘, 木村, 荘一, 稲垣, 敬三, 山本, 記顕, 村上, 国男, 荒井, 嘉司, 安野, 博, 加瀬, 昌弘, 小山, 明, 片山, 透, 小松, 彦太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 1986
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.39.761

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Summary:肺癌患者を中心とした開胸手術例35名を対象に, 術前にCefotiam (CTM) を単独又はCTMにSerrapeptase (Ser) を併用して, 切除肺のCTM濃度を測定して, CTMの肺組織移行性に及ぼすSerの影響を検討した。 CTM単独群は開胸手術開始直前にCTM2gを30分で点滴静注し, CTM+Ser併用群では術前1週間からSerを1回2錠, 1日3回, 手術前日まで投与し, 手術当日はCTM単独群と同様にCTM2gを30分で点滴静注した。 CTMの血清中濃度, 肺組織 (健常部, 炎症部) 内濃度を測定した結果, 以下の結論を得た。 1. CTMの肺組織への移行性は血清中濃度と相関し, 個体差, 病態の差異などの影響によるばらつきはみられるものの, 血清中濃度の約1/2に達し, 肺感染症の主な起炎菌のMIC80は十分にカバーしている。 2. 炎症肺と健常肺の組織内濃度はCTM単独群, Ser併用群とも炎症肺が低値を示したが, 症例のほとんどで炎症は慢性であり, 血流の低下が認められたためと考えられる。 3. CTMの肺組織内濃度を血清中濃度で除した値を肺組織移行率として検討すると, CTM単独群の炎症肺組織移行率は29.1±2.5%であるのに対して, Ser併用群では44.2±6.0%と有意 (P<0.05) の移行率の増加が認められた。 以上のことから, 肺手術時にCTMとSerとの併用は試みてみる価値があり, 又, 呼吸器感染症に対してSerの抗炎症作用による効果と併せて, 抗生剤の移行促進効果も期待できるものと考えられる。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.39.761