術前矯正治療にオトガイ形成術と下顎前歯部歯槽骨切り術を併用した下顎後退症の1例

「緒言」下顎後退(小下顎)症では, オトガイは後方に位置し, しばしば下顎の歯槽基底と歯列弓の不調和, 叢生や歯軸の唇側傾斜などを伴っている1). 外科的矯正治療において安定した咬合関係を得るためには, 顎矯正手術前に歯科矯正治療(以下, 矯正治療とする)によって歯および歯列弓の不正を改善し, 上下顎歯列弓の調和を図ることが必要である. しかし, symphysisの前後径が小さい症例において下顎前歯の唇側傾斜した歯軸を改善する矯正治療では, 歯根が歯槽骨から露出したり, 歯根吸収2)を起こしたりする恐れがある. このような矯正治療単独では, 歯軸傾斜の改善に限界がある症例の場合, 下顎前歯部...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 18; no. 3; pp. 221 - 229
Main Authors 高道, 理, 村上, 有二, 大畑, 昇, 大井, 一浩, 山本, 隆昭, 飯田, 順一郎, 戸塚, 靖則, 尾田, 充孝, 井上, 農夫男, 佐藤, 嘉晃, 諏訪, 伸輔, 道念, 正樹, 松下, 和裕, 山方, 秀一, 山口, 博雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 15.08.2008
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.18.221

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Summary:「緒言」下顎後退(小下顎)症では, オトガイは後方に位置し, しばしば下顎の歯槽基底と歯列弓の不調和, 叢生や歯軸の唇側傾斜などを伴っている1). 外科的矯正治療において安定した咬合関係を得るためには, 顎矯正手術前に歯科矯正治療(以下, 矯正治療とする)によって歯および歯列弓の不正を改善し, 上下顎歯列弓の調和を図ることが必要である. しかし, symphysisの前後径が小さい症例において下顎前歯の唇側傾斜した歯軸を改善する矯正治療では, 歯根が歯槽骨から露出したり, 歯根吸収2)を起こしたりする恐れがある. このような矯正治療単独では, 歯軸傾斜の改善に限界がある症例の場合, 下顎前歯部の歯槽骨切り術が適応される. 一般的には, 両側下顎第一小臼歯を抜歯後, そのスペースを詰めるように骨切りした前歯部の歯槽骨片を舌側へ回転移動して歯軸を改善する. しかし, この方法では下顎歯列弓の長径はさらに短くなり, 上下顎歯列弓に不調和が生じることになる.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.18.221