骨格性下顎前突症患者における口唇周囲軟組織の三次元運動解析

「緒言」顎変形症に対する外科的矯正治療の目標は, 顔貌の改善, 咬合の安定および硬組織と軟組織との調和の確立にある. 正常咬合という状態が最も咀嚼効率の高い状態であるとすれば, それを取り巻く口腔周囲筋もまた最も効率の高い状態にあり, かつ硬組織と調和のとれた状態が最善である1). したがって, 外科的矯正治療の目標設定にあたっては, 硬組織と口腔周囲軟組織のバランスが重視される. 外科的矯正治療前後における軟組織の形態変化の分析については過去において多数の報告2, 3)がある. しかし, これらのほとんどはセファログラムあるいは顔面写真を用いて静的な状態で計測を行った研究である. 骨格性下顎...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 17; no. 3; pp. 189 - 199
Main Authors 中村, 康雄, 林, 豊彦, 森嶋, 繁生, 寺田, 員人, 齋藤, 功, 松原, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 15.08.2007
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.17.189

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Summary:「緒言」顎変形症に対する外科的矯正治療の目標は, 顔貌の改善, 咬合の安定および硬組織と軟組織との調和の確立にある. 正常咬合という状態が最も咀嚼効率の高い状態であるとすれば, それを取り巻く口腔周囲筋もまた最も効率の高い状態にあり, かつ硬組織と調和のとれた状態が最善である1). したがって, 外科的矯正治療の目標設定にあたっては, 硬組織と口腔周囲軟組織のバランスが重視される. 外科的矯正治療前後における軟組織の形態変化の分析については過去において多数の報告2, 3)がある. しかし, これらのほとんどはセファログラムあるいは顔面写真を用いて静的な状態で計測を行った研究である. 骨格性下顎前突症患者における軟組織の特徴として, 下顎骨の前下方への過成長による, 上唇高径の短小化, 下唇高径の過大, オトガイ部の緊張感ならびに, 下唇からオトガイ部にかけての非薄化が挙げられる2-4). 一方, 顎矯正手術により, 上唇の後退と上唇高径の増大, 口唇の下方移動, 下唇高径の減少と翻転度の増加, バランスの取れたオトガイ唇溝などの改善を認めたことが北村ら2), 本吉ら4), 土屋ら5), によって報告されている.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.17.189