健診における腹部超音波検査と生活習慣病

当院健診センター受診者のうち30~59歳の11, 260名を対象として腹部超音波検査, 血液・生化学検査および既往歴, 現病歴の問診を行い, 腹部超音波検査で認められる脂肪肝, 高輝度膵と生活習慣病に関連した項目について統計学的に比較し, 生活習慣病の指標としての腹部超音波検査の意義を検討した。 腹部超音波検査にて, 脂肪肝, 高輝度膵を診断, スコア化し, 定量的評価を試みた。 脂肪肝は, 正常群から, 軽度, 中等度, 高度脂肪肝になるに従いBMIの上昇を認めた。生活習慣病である高血圧, 糖尿病, 高脂血症は, 正常群から, 軽度, 中等度, 高度脂肪肝になるに従い有病率の上昇を認めた。...

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Published in総合健診 Vol. 30; no. 6; pp. 567 - 574
Main Authors 野原, 利文, 岩間, みどり, 小島, 孝雄, 白木, 勝彦, 濱口, 真英, 中島, 知明, 渡辺, 一敏, 井田, 和徳, 出口, 富美子, 奥田, 順一, 中村, 清, 藤井, 恒太, 加藤, 智佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.11.2003
日本総合健診医学会
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.30.567

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Summary:当院健診センター受診者のうち30~59歳の11, 260名を対象として腹部超音波検査, 血液・生化学検査および既往歴, 現病歴の問診を行い, 腹部超音波検査で認められる脂肪肝, 高輝度膵と生活習慣病に関連した項目について統計学的に比較し, 生活習慣病の指標としての腹部超音波検査の意義を検討した。 腹部超音波検査にて, 脂肪肝, 高輝度膵を診断, スコア化し, 定量的評価を試みた。 脂肪肝は, 正常群から, 軽度, 中等度, 高度脂肪肝になるに従いBMIの上昇を認めた。生活習慣病である高血圧, 糖尿病, 高脂血症は, 正常群から, 軽度, 中等度, 高度脂肪肝になるに従い有病率の上昇を認めた。 高輝度膵は, 正常群から, 軽度, 高度高輝度膵になるに従いBMI, 年齢の上昇を認めた。高血圧, 糖尿病, 高脂血症は, 正常群から, 軽度, 高度高輝度膵になるに従い有病率の上昇を認めた。 脂肪肝と高輝度膵の有無による4群間の比較では, 高輝度膵を認め脂肪肝を認めない群より, 高輝度膵を認めず脂肪肝を認める群においてAST, ALT, γ-GTPといった肝機能障害の生化学マーカーが有意に高値であった。また, 脂肪肝 (-) 高輝度膵 (-) , 脂肪肝 (-) 高輝度膵 (+) , 脂肪肝 (+) 高輝度膵 (-) , 脂肪肝 (+) 高輝度膵 (+) の順に高血圧, 糖尿病, 高脂血症の有病率の上昇を認めた。このことより生活習慣病の指標としては高輝度膵より脂肪肝のほうが重要であると考えられた。 脂肪肝と高輝度膵の判定は生活習慣病に密接に関連しており, 健診における腹部超音波検査によるこれらの判定は重要と考えられた。脂肪肝, 高輝度膵のスコア化による半定量的な評価は, 生活習慣病有病率や生活習慣病と関連した検査結果と順位相関を認めるため有用であった。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.30.567