下大静脈浸潤癌手術における体外循環方法の検討 下大静脈腫瘍栓を伴う腎癌手術におけるV-Vバイパス循環補助の有用性について

要旨下大静脈(IVC)浸潤を伴う癌に対する切除とIVC再建術では、安定した循環動態の確保が困難であり、至適補助手段はいまだ確立されていない。我々はIVC浸潤を伴う腎癌に対する癌切除・IVC再建術において、大腿静脈脱血-内頸静脈送血のV-Vバイパスを補助循環として6例に用いた。V -Vバイパス回路は遠心ポンプを組み込んだ閉鎖回路に、IVC切開時の出血に備えて吸引回路を接続したものを使用した。灌流指数はV-Vバイパス開始前の血圧を維持するように送血量を調節し、結果として0.8~1.OL/min/m2で適正な血圧を維持することができた。死亡例および重篤な合併症を起こした症例はなく、また、V-Vバイパ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in体外循環技術 Vol. 35; no. 1; pp. 23 - 28
Main Authors 木内, 利明, 和泉, 匡洋, 目黒, 則男, 平石, 泰三, 高見, 宏, 岸, 義彦, 谷上, 博信, 淡田, 修久, 植田, 隆介, 神原, 紀子, 西田, 雅彦, 宇佐, 美道之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体外循環技術医学会 01.03.2008
日本体外循環技術医学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0912-2664
1884-5452
DOI10.7130/hokkaidoshakai.35.23

Cover

More Information
Summary:要旨下大静脈(IVC)浸潤を伴う癌に対する切除とIVC再建術では、安定した循環動態の確保が困難であり、至適補助手段はいまだ確立されていない。我々はIVC浸潤を伴う腎癌に対する癌切除・IVC再建術において、大腿静脈脱血-内頸静脈送血のV-Vバイパスを補助循環として6例に用いた。V -Vバイパス回路は遠心ポンプを組み込んだ閉鎖回路に、IVC切開時の出血に備えて吸引回路を接続したものを使用した。灌流指数はV-Vバイパス開始前の血圧を維持するように送血量を調節し、結果として0.8~1.OL/min/m2で適正な血圧を維持することができた。死亡例および重篤な合併症を起こした症例はなく、また、V-Vバイパス中の循環動態は安定していた。IVC切開時に多量の出血が起こった場合には、吸引回路で回収して迅速に閉鎖回路に返血できたので、安定した循環動態を維持することができた。IVC浸潤を伴う腎癌に対する切除・再建術において、V-Vバイパスを用いた補助循環は安定した循環動態下で手術を行うのに有用であった。
ISSN:0912-2664
1884-5452
DOI:10.7130/hokkaidoshakai.35.23