介護老人保健施設における起立運動負荷を用いた安静時から運動時の心肺機能評価の実践
【目的】介護老人保健施設(老健)には後期高齢者が87.6%入所し、入所者の39.5%が循環器系疾患を既往している。理学療法の対象は心肺機能が低下した要介護高齢者であることから、老健でも医療機関と同様に心肺機能評価の視点が重要になる。そこで、個別指導および集団運動において提供されている起立運動を負荷方法に利用した、安静時から運動時における心肺機能評価の実践と、心肺機能評価項目の設定について検討する。 【対象】長期入所者のうち条件を満たした24名とした(平均年齢80.6歳)。条件は、1.FIM移乗項目点数5点以上、2.主移動手段が車いす駆動、シルバーカー歩行、近位監視歩行の者、3.コミュニケーショ...
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| Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 26; p. 108 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2007
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0916-9946 2187-123X |
| DOI | 10.14901/ptkanbloc.26.0.108.0 |
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| Summary: | 【目的】介護老人保健施設(老健)には後期高齢者が87.6%入所し、入所者の39.5%が循環器系疾患を既往している。理学療法の対象は心肺機能が低下した要介護高齢者であることから、老健でも医療機関と同様に心肺機能評価の視点が重要になる。そこで、個別指導および集団運動において提供されている起立運動を負荷方法に利用した、安静時から運動時における心肺機能評価の実践と、心肺機能評価項目の設定について検討する。 【対象】長期入所者のうち条件を満たした24名とした(平均年齢80.6歳)。条件は、1.FIM移乗項目点数5点以上、2.主移動手段が車いす駆動、シルバーカー歩行、近位監視歩行の者、3.コミュニケーションに問題がない者、4.安静時心肺機能評価において問題がない者、5.同意が得られた者とした。 【方法】起立運動負荷方法は、テープの号令に合わせて10秒間に1回の割合で合計30回起立する設定とした。環境設定は集団運動を想定して、椅子高および支持物の高さを統一した。設定した心肺機能評価項目は、事前評価項目は[既往疾患、冠危険因子と薬物療法の有無]、安静時心肺機能評価項目は [心拍数、心電図、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)、血圧、心音、自覚他覚所見]、安静時から運動時の心肺機能評価項目は[心拍数、心電図、SpO2、自覚他覚所見]を設定した。測定過程は運動負荷前後に5分間の安静座位を保持する過程として、測定は全過程において1分毎に行った。分析は%HRの算出と運動負荷に対する生理的反応を、一般的リスク管理基準と照らして問題のある対象を抽出した。 【結果】循環器系疾患の既往は1名を除く23名に認められた。%HRの平均は76.3%(n=24)、安静時から運動時における心肺機能評価に問題を認めた対象は50.0%(n=12)であった。内訳は息切れおよび動悸の出現(n=6、n=2)、血圧の異常(n=2)、SpO2の低下(n=4)、%HR85%以上(n=5)、異常心音の出現(n=1)であった。 【考察】日常提供されている起立運動において、安静時から運動時の心肺機能評価に問題を呈する対象を認めたことは、提供する運動内容における心肺機能評価の必要性を示唆している。問題の内訳から、息切れおよび運動強度に問題を認める対象が多いことから、自覚他覚所見、心拍数の評価は欠かせない。評価項目のうち心電図所見については、安静時から運動時に問題を呈する対象を認めなかったが、老健には循環器系疾患既往者が多いことから、評価項目として心電図所見の設定も必要と考えられる。 |
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| Bibliography: | 108 |
| ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
| DOI: | 10.14901/ptkanbloc.26.0.108.0 |