ドデシル硫酸ナトリウム/活性炭前濃縮法を利用した環境試料中微量カドミウムのフレーム原子吸光分析

バッチ法を用いて,試料溶液中にドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate, SDS)と活性炭を添加し,SDSを活性炭表面に修飾しながら,カドミウム(Cd)を同時にSDS/活性炭表面に前濃縮する手法を開発した.Cdを吸着濃縮したのち,メンブランフィルターで活性炭を分離し,硝酸溶液で脱着した.脱着溶液中のCdの定量は,フレーム原子吸光分析法によった.撹拌かくはん時間,試料溶液の初期pH,SDS濃度,溶離剤の種類と体積,マトリックス元素の影響を調査し,前濃縮条件を最適化した結果,58.5倍の濃縮倍率を得た.SDS/活性炭の形成の評価は,透過型電子顕微鏡,透過型電子顕微鏡,フ...

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Published in分析化学 Vol. 65; no. 8; pp. 419 - 424
Main Authors 鈴木, 透, 勝又, 英之, 金子, 聡, 古川, 真衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2016
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.65.419

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Summary:バッチ法を用いて,試料溶液中にドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate, SDS)と活性炭を添加し,SDSを活性炭表面に修飾しながら,カドミウム(Cd)を同時にSDS/活性炭表面に前濃縮する手法を開発した.Cdを吸着濃縮したのち,メンブランフィルターで活性炭を分離し,硝酸溶液で脱着した.脱着溶液中のCdの定量は,フレーム原子吸光分析法によった.撹拌かくはん時間,試料溶液の初期pH,SDS濃度,溶離剤の種類と体積,マトリックス元素の影響を調査し,前濃縮条件を最適化した結果,58.5倍の濃縮倍率を得た.SDS/活性炭の形成の評価は,透過型電子顕微鏡,透過型電子顕微鏡,フーリエ変換赤外分光法,BET比表面積法を用いた.他元素による干渉は,ほとんど見られなかった.最適条件下における本法の検出限界(3S/N)は,66 pg mL−1であった.Cd水溶液(10 ng mL−1)を10回繰り返し測定した場合の再現性は,相対標準偏差(RSD)3.1% であった.本法を環境試料(雨水とミネラルウォーター)の分析に適応したところ,満足のいく結果が得られた.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.65.419