変形性膝関節症患者に対する簡易筋力訓練器を使用した訓練効果について

【目的】大腿四頭筋セッティング(以下、セッティング)は,変形性膝関節症(以下,膝OA)患者に対する筋力強化訓練として一般的である.しかし,負荷強度についての検討は少なく,臨床で定量的な設定は困難である.今回,我々が開発したフィードバック機能を備えた簡易筋力訓練器(以下,訓練器)を用い,外来膝OA患者に訓練を行い,その効果について検討したので報告する.<BR>【対象】2008年1月から10月に当院整形外科を受診し膝OAと診断された者の中から,本研究の趣旨を説明し同意の得られた女性8名13膝(年齢66.2±5.7歳)を対象とした.膝OA(K-L分類)病期の内訳はgrade2が7膝,grade3が5...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 29; p. 166
Main Authors 大森, 豪, 松岡, 潤, 遠藤, 和男, 渡辺, 博史, 古賀, 良生, 縄田, 厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2010
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.29.0.166.0

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Summary:【目的】大腿四頭筋セッティング(以下、セッティング)は,変形性膝関節症(以下,膝OA)患者に対する筋力強化訓練として一般的である.しかし,負荷強度についての検討は少なく,臨床で定量的な設定は困難である.今回,我々が開発したフィードバック機能を備えた簡易筋力訓練器(以下,訓練器)を用い,外来膝OA患者に訓練を行い,その効果について検討したので報告する.<BR>【対象】2008年1月から10月に当院整形外科を受診し膝OAと診断された者の中から,本研究の趣旨を説明し同意の得られた女性8名13膝(年齢66.2±5.7歳)を対象とした.膝OA(K-L分類)病期の内訳はgrade2が7膝,grade3が5膝,grade4が1膝であった.<BR>【方法】訓練肢位は長座位とし,膝窩部に設置した訓練器を使用しセッティング動作をさせた.訓練時の負荷強度は,最大努力下でセッティング動作を行った際の数値の60_%_と設定し,1カ月後に変更した。訓練は収縮時間10秒,回数10回を1セットとして3セット実施し,頻度は週2回で2カ月間継続した.訓練前と1ヶ月,2カ月に,Cybex6000Bによる膝関節30度屈曲位での大腿四頭筋とハムストリングスの最大等尺性筋力値(以下,大腿四頭筋をQ値,ハムストリングスをH値)を測定した.また,日本整形外科学会変形性膝関節症治療成績判定基準(以下,JOA score)の評価を行った.Q値,H値,JOA scoreについて訓練前との変化を比較した.統計処理は反復測定分散分析とし,5_%_未満を有意水準とした.<BR>【結果】Q値の平均値は訓練前42.5±13.6Nm,1カ月後48.3±14.1Nm,2カ月後48.0±13.8Nmと訓練前に比較して有意に増加した.H値の平均値は訓練前35.5±11.7Nm,1カ月後40.0±13.9Nm,2カ月後40.1±12.2Nmであり有意差は認められなかったが,経時的に増加する傾向にあった.また,JOA scoreは合計得点が訓練前と比較して有意に改善した.<BR>【考察】等尺性筋力強化訓練には最大収縮時の60~65%以上の負荷強度が必要とされ,また,高齢者の筋力強化訓練は週2,3回の頻度が適しているとされている.今回は週2回の頻度で, Q値の増加を認め,筋力の改善により活動性が改善されたと考えられた.セッティング動作でも大腿四頭筋とハムストリングスの同時収縮が可能とされているが,H値の増加が認められなかったことは,訓練頻度やセッティング動作時の説明に対する理解に問題があったと考えられた.今後は頻度や設定条件の違いによる効果について検討を行っていきたい.
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ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.29.0.166.0