超音波画像診断装置を用いた体幹回旋運動における自動及び他動運動時の内・外腹斜筋、腹横筋筋厚変化

【目的】  近年、腹横筋について超音波画像診断装置を用いた研究は多く散見される。しかし、体幹回旋運動時の腹横筋筋厚変化についての報告は少ない。また、筋厚の変化が、筋収縮によるものか筋の撓みや筋以外の軟部組織によるものかの報告も同様に少ない。今回、体幹回旋運動時の内・外腹斜筋、腹横筋筋厚変化について、自動及び他動運動にて比較・検討することで、筋厚変化と筋収縮との関連性を明らかにすることを目的とした。 【方法】  対象は、健常成人男性5名(平均年齢26±3.0歳)として、対象筋は両側の内・外腹斜筋、腹横筋とした。なお研究は、被験者に研究の主旨と方法について十分な説明を行った後に実施した。  内・外...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 30; p. 197
Main Authors 菅谷, 知明, 粕山, 達也, 阿部, 洋太, 坂本, 雅昭, 白倉, 賢二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2011
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.30.0.197.0

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Summary:【目的】  近年、腹横筋について超音波画像診断装置を用いた研究は多く散見される。しかし、体幹回旋運動時の腹横筋筋厚変化についての報告は少ない。また、筋厚の変化が、筋収縮によるものか筋の撓みや筋以外の軟部組織によるものかの報告も同様に少ない。今回、体幹回旋運動時の内・外腹斜筋、腹横筋筋厚変化について、自動及び他動運動にて比較・検討することで、筋厚変化と筋収縮との関連性を明らかにすることを目的とした。 【方法】  対象は、健常成人男性5名(平均年齢26±3.0歳)として、対象筋は両側の内・外腹斜筋、腹横筋とした。なお研究は、被験者に研究の主旨と方法について十分な説明を行った後に実施した。  内・外腹斜筋、腹横筋の筋厚測定には、HITACHI社製超音波画像診断装置を使用した。胸腰筋膜と腹横筋の筋腱移行部を画像上のランドマークとし、25mm臍側にて内・外腹斜筋、腹横筋の筋厚を測定した。測定条件は、プローブを腹部に当てた状態での体幹回旋を自動及び他動運動にて各3回ずつ実施した。自動運動時の体幹回旋は、徒手筋力検査法の段階5の肢位とし、他動運動時は自動運動と同肢位で下にクッションを敷きリラックスさせた状態とした。  統計学的解析として、安静時・自動運動時・他動運動時における内・外腹斜筋、腹横筋筋厚の比較に一元配置分散分析後Tukeyの多重比較法を用いて検定を行った(有意水準5%)。なお、検定には各条件における3回の測定で得られた値の平均値を用いた。 【結果】  右腹部にプローブを当てた状態では、自動運動時に右回旋の外腹斜筋においてのみ有意な筋厚の減少がみられた。左腹部にプローブを当てた状態では、自動運動時に左回旋の外腹斜筋に有意な筋厚の減少、内腹斜筋と腹横筋に有意な筋厚の増加がみられた。 【考察】  自動運動においてのみ有意な筋厚の変化がみられたことから、筋厚変化に及ぼす影響は、筋収縮による影響が大きく、筋の撓みや筋以外の軟部組織による影響は小さいことが示唆された。また、外腹斜筋に関して有意な筋厚の減少が見られた理由として、筋腹が自動運動時に背側に移動する様子がみられ、それに対し測定位置が25mmと腹側にあったため減少したと考えられる。本研究は、対象者数が5名と少数であり、他動運動時の筋電図学的解析は実施していない。今後、対象者数を追加した上での比較・検討や他動運動時の筋電図学的解析、測定位置の検討を実施していく必要性が考えられる。 【まとめ】  超音波画像診断装置を用いて体幹回旋運動における自動及び他動運動時の筋厚変化について比較・検討を行った。筋厚変化は、筋収縮による影響が大きいことが示唆された。
Bibliography:P2-9-083
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.30.0.197.0