リハビリテーション病院退院者の退院1ヶ月後の生活機能と健康関連QOLの推移

【目的】 茨城県立医療大学付属病院(以下、当院)でリハビリテーションを実施した患者が、退院後に生活機能を維持できているか、また身体的・精神的に健康を維持できているのかを追跡調査することで、当院のリハビリテーション機能の質を評価するとともに、地域在宅生活を長期にわたり良好に維持してゆくための支援体制を確立することを目的に,今回、退院後1ヵ月の時点での生活機能と健康関連QOLについて調査し、一定の知見を得たので報告する。【方法】 対象は、2009年9月1日から2010年1月31日までに当院を退院した成人患者とし,退院時の生活機能評価として、FIM、改訂版日本語FAI(Frenchay Activi...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 29; p. 142
Main Authors 橋爪, 佑子, 水上, 昌文, 松田, 智行, 大仲, 功一, 上野, 友之, 小笠原, 瞳, 橘, 香織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2010
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.29.0.142.0

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Summary:【目的】 茨城県立医療大学付属病院(以下、当院)でリハビリテーションを実施した患者が、退院後に生活機能を維持できているか、また身体的・精神的に健康を維持できているのかを追跡調査することで、当院のリハビリテーション機能の質を評価するとともに、地域在宅生活を長期にわたり良好に維持してゆくための支援体制を確立することを目的に,今回、退院後1ヵ月の時点での生活機能と健康関連QOLについて調査し、一定の知見を得たので報告する。【方法】 対象は、2009年9月1日から2010年1月31日までに当院を退院した成人患者とし,退院時の生活機能評価として、FIM、改訂版日本語FAI(Frenchay Activities Index)、健康関連QOL(SF-8®)を実施した。退院後1ヶ月調査は、生活機能評価に自己評価式FIMを使用し,FAI,SF-8を郵送調査にて実施した。なお、本研究は、茨城県立医療大学倫理委員会の承認の後、対象者より書面による説明と同意を得た上で実施した。【結果】 研究参加者は108名(参加率69%)であった。なお、本報告は、退院時の対象者62名、退院後1ヶ月調査の対象者は28名(回収率48%)であった。  退院時の調査対象者の障害分布は、脳血管障害と脊髄障害が7割を占めており,退院先は自宅退院率が高く(91%)、退院後の医療処置を要する例はなかった。  FIMは、運動項目が退院時68±20.4、退院時1ヶ月後が、67±25.8,認知項目が退院時30±7.2、退院1ヶ月後が31±7.5であった。FAIは、退院時は、9±6.5、退院1ヵ月後は、18±9.1であった。  健康関連QOLのうち本人の身体的健康感は、退院時は、40.4±8.44、退院後1ヶ月は、37.1±10.34であり、精神的健康感は、退院時が、41.7±9.53、退院後1ヶ月は46.0±9.79であった。【考察】 当院からの自宅退院者は、退院1ヶ月後の日常生活動作能力(FIM)はほぼ維持されており、生活関連動作(FAI)は向上していた。しかし、健康関連QOL(SF-8)に関しては退院時から低値を示しており、退院1ヵ月後の精神的健康感は増加傾向にあるが、身体的健康感は低下傾向を示した。今後、さらに、継続調査を注視する必要はあるが、退院患者に対して、活動や参加の能力に加えて、当事者の健康関連QOLを踏まえた支援体制を退院時までに整備することの重要性が伺えた。
Bibliography:209
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.29.0.142.0