日本における視神経-脊髄型多発性硬化症

わが国では欧米に比べて多発性硬化症(MS)の頻度は少なく, また, 以下のごとき特徴が以前より指摘されてきたすなわち, (1)高度の視力障害を残す例が多い, (2)両側視力障害にての発症が比較的多い, (3)急性横断性脊髄症(ATM)をきたす例が多い, (4)視神経脊髄型あるいは Devic 病が多い, (5)欧米で確認されているような HLA-DR2との明らかな相関がない, (6)髄液 oligo-clonal IgG bands(OCB)の陽性率が低い, などである. これらの欧米例とは異なる特徴を「人種差」に起因させてしまうことは簡単である. しかし, これらの特異性, いいかえれば M...

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Published in炎症 Vol. 20; no. 3; pp. 209 - 213
Main Authors 深澤, 俊行, 田代, 邦雄, 濱田, 毅, 菊地, 誠志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 2000
日本炎症学会
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ISSN0389-4290
1884-4006
DOI10.2492/jsir1981.20.209

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Summary:わが国では欧米に比べて多発性硬化症(MS)の頻度は少なく, また, 以下のごとき特徴が以前より指摘されてきたすなわち, (1)高度の視力障害を残す例が多い, (2)両側視力障害にての発症が比較的多い, (3)急性横断性脊髄症(ATM)をきたす例が多い, (4)視神経脊髄型あるいは Devic 病が多い, (5)欧米で確認されているような HLA-DR2との明らかな相関がない, (6)髄液 oligo-clonal IgG bands(OCB)の陽性率が低い, などである. これらの欧米例とは異なる特徴を「人種差」に起因させてしまうことは簡単である. しかし, これらの特異性, いいかえれば MS自体のもつ多様性の背景を検討することは MS解明へのヒントを与えてくれる可能性が高い. 特に最近, 臨床病型を念頭においた MSに関する新たな知見が集積され, わが国 MSの多様性の背景が少しずつ明確になってきた. ここでは, 筆者らの経験および諸家の報告をもとに, 日本における OS-MSの特異性を通常型多発性硬化症(いわゆる欧米型)との比較を含めて整理してみたい.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.20.209