東京大都市における都心居住の構造に関する研究

ここ数年,東京都心部における定住人口減少は非常に深刻である。本研究では,人口減少の激しい東京都中央区の中でも,特にその傾向が著しい東京駅前・銀座地区を取り上げ,この地区の住民を対象としたアンケート調査を行ない,現在の都心における居住状況と住民の意識を把握した上で,人口の減少を食い止め定住を促進するための居住環境改善方策を検討した。地区全体の建物延べ約4000棟のうち34%の建物に住民登録があるが,建物が大規模なほど居住者がいなくなる傾向があり,大規模建築が住民を追い出している形になっている。アンケート調査の結果,この地区の住民像として,自己所有地に建つ建物に1階が商店,2階が住居の形で昔からこ...

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Published in住宅総合研究財団研究年報 Vol. 17; pp. 209 - 217
Main Authors 須藤, 諭, 尾島, 俊雄, 王, 世燁, 三浦, 昌生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般財団法人 住総研 1991
Housing Research Foundation "JUSOKEN"
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ISSN0916-1864
2423-9879
DOI10.20803/jusokennen.17.0_209

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Summary:ここ数年,東京都心部における定住人口減少は非常に深刻である。本研究では,人口減少の激しい東京都中央区の中でも,特にその傾向が著しい東京駅前・銀座地区を取り上げ,この地区の住民を対象としたアンケート調査を行ない,現在の都心における居住状況と住民の意識を把握した上で,人口の減少を食い止め定住を促進するための居住環境改善方策を検討した。地区全体の建物延べ約4000棟のうち34%の建物に住民登録があるが,建物が大規模なほど居住者がいなくなる傾向があり,大規模建築が住民を追い出している形になっている。アンケート調査の結果,この地区の住民像として,自己所有地に建つ建物に1階が商店,2階が住居の形で昔からこの地区に住み,老齢化が進んでいることが明らかとなった。その大多数は人口減少を問題視して人口回復の必要性を訴えており,居住階が低いほど日照環境が悪いと感じている。また,この地区の祭りや行事をよく知っているが,住民がいなくなることは街の歴史を知る者がいなくなることでもある。住戸の外部に対する開放性を示す尺度として住戸の開放面数を定義し,これと居住者の環境に対する意識の関連性を解析した結果,住戸の開放面数が多いほど日照環境に対する評価が高くなる傾向があった。区からの転出理由のひとつとして居住環境の悪さが挙げられる状況から,居住環境改善方策として共同化と住居用容積率緩和による改築案の有効性を検討した。
ISSN:0916-1864
2423-9879
DOI:10.20803/jusokennen.17.0_209