溶離液グラジエントHPLCによるセルロースエステルの組成不均一性の解析

セルロースアセテート(CA)を幅広い置換度(DS)に関して分離することができる,グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(GPEC)法を開発した.CA試料(平均DS=0.6〜2.9)をプロピオニル化またはベンゾイル化して,セルロースアセテートプロピオネート試料及びセルロースアセテートベンゾエート試料を合成し,GPEC法を用いて置換度分別(組成分別)した.分別は,フェニル基修飾シリカカラムを固定相として,アセトニトリル: H2O=6 : 1(v/v)から酢酸エチルへの逆相吸脱着機構に基づく溶離液グラジエントを用いた.両サンプル系ともにDS値に応じて置換度分別できた.しかしいずれの系でも,DSの...

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Published in分析化学 Vol. 71; no. 9; pp. 495 - 500
Main Authors 浮田, 静, 川井, 忠智, 島本, 周
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.09.2022
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.71.495

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Summary:セルロースアセテート(CA)を幅広い置換度(DS)に関して分離することができる,グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(GPEC)法を開発した.CA試料(平均DS=0.6〜2.9)をプロピオニル化またはベンゾイル化して,セルロースアセテートプロピオネート試料及びセルロースアセテートベンゾエート試料を合成し,GPEC法を用いて置換度分別(組成分別)した.分別は,フェニル基修飾シリカカラムを固定相として,アセトニトリル: H2O=6 : 1(v/v)から酢酸エチルへの逆相吸脱着機構に基づく溶離液グラジエントを用いた.両サンプル系ともにDS値に応じて置換度分別できた.しかしいずれの系でも,DSの低い試料では,わずかな相分離の影響が観察され,また,高DSの試料で低い保持時間での鋭いピークが観察されるという問題が見られた.定量的置換度分布の決定にはさらなる分離系の検索が必要であるが,この方法は広いDS範囲でのDS分布の決定に適用できると思われる.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.71.495