児童の愛他的態度育成のための継続型直接体験授業の効果

本研究の目的は児童の愛他的態度育成の方法について継続型直接体験授業の効果を明らかにすることである.参加者は小学4年生77名で,幼稚園年長児との直接交流を6回行い,授業前後に愛他的態度を測定する質問紙を実施した.その結果,愛他的態度の感情成分得点はポジティブ体験高群で向上し,行動意図成分得点はポジティブ体験低群とネガティブ体験高群で低下した.認知成分得点は事前から高い値を示しており,変容なく維持した.つまり,ポジティブ体験の積み重ねは愛他的態度の感情面を伸長することが明らかになり,継続型直接体験授業は愛他性育成を目的とした方法の1つとして有効であることが示された.しかし同時に,今回の取組ではポジ...

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Published in日本教育工学会論文誌 Vol. 33; no. 1; pp. 23 - 30
Main Authors 鈴木, 由美子, 神山, 貴弥, 石井, 眞治, 宮里, 智恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本教育工学会 2009
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ISSN1349-8290
2189-6453
DOI10.15077/jjet.KJ00005622744

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Summary:本研究の目的は児童の愛他的態度育成の方法について継続型直接体験授業の効果を明らかにすることである.参加者は小学4年生77名で,幼稚園年長児との直接交流を6回行い,授業前後に愛他的態度を測定する質問紙を実施した.その結果,愛他的態度の感情成分得点はポジティブ体験高群で向上し,行動意図成分得点はポジティブ体験低群とネガティブ体験高群で低下した.認知成分得点は事前から高い値を示しており,変容なく維持した.つまり,ポジティブ体験の積み重ねは愛他的態度の感情面を伸長することが明らかになり,継続型直接体験授業は愛他性育成を目的とした方法の1つとして有効であることが示された.しかし同時に,今回の取組ではポジティブ体験を積み重ねても愛他的態度の行動意図面を伸長することはできなかったことから,行動意図面をも伸長することができるインパクトのある直接体験授業の開発が課題である.
ISSN:1349-8290
2189-6453
DOI:10.15077/jjet.KJ00005622744