術式不詳の開心術後の心房粗動に対して詳細なマッピングにより回路を同定し得た1例

54歳,男性.2度の僧帽弁置換術の既往(術式不詳)がある.動悸を訴え,受診.心房レート258bpmの心房粗動に対して電気生理学的検査・治療を施行した.頻拍は右房自由壁に存在する手術痕を旋回しており,手術痕下端から下大静脈間ならびに三尖弁輪から下大静脈間の線状焼灼により頻拍は停止,誘発不能となった.5カ月後に動悸発作が再発,心房レート300bpmの心房粗動を認め,再度電気生理学的検査・治療を施行した.頻拍のpost pacing interval(PPI)は右房中隔および冠静脈洞入口部でのみ一致し,心房中隔起源と考えられた.また,右房中隔において線状にdouble potential(DP)が記...

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Published in心臓 Vol. 44; no. SUPPL.3; pp. S3_190 - S3_196
Main Authors 久賀, 圭祐, 金城, 貴士, 町野, 毅, 吉田, 健太郎, 油井, 慶晃, 安達, 亨, 青沼, 和隆, 井藤, 葉子, 五十嵐, 都, 夛田, 浩, 山崎, 浩, 黒木, 健志, 中野, 恵美, 関口, 幸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.S3_190

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Summary:54歳,男性.2度の僧帽弁置換術の既往(術式不詳)がある.動悸を訴え,受診.心房レート258bpmの心房粗動に対して電気生理学的検査・治療を施行した.頻拍は右房自由壁に存在する手術痕を旋回しており,手術痕下端から下大静脈間ならびに三尖弁輪から下大静脈間の線状焼灼により頻拍は停止,誘発不能となった.5カ月後に動悸発作が再発,心房レート300bpmの心房粗動を認め,再度電気生理学的検査・治療を施行した.頻拍のpost pacing interval(PPI)は右房中隔および冠静脈洞入口部でのみ一致し,心房中隔起源と考えられた.また,右房中隔において線状にdouble potential(DP)が記録されたことから,同部位に手術痕が存在し周囲を旋回する心房粗動と推定した.DP下端から下大静脈間の線状焼灼により頻拍は停止,誘発不能となった. 術式不詳の開心術後の心房粗動は,自由壁のみならず中隔をはじめ複数の手術痕が存在する可能性があり,それらが形成する峡部を旋回している可能性がある.DP,PPIによる詳細なマッピングにより頻拍回路の同定ならびに有効な焼灼が可能である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.S3_190