心室細動による心肺停止にて発症した無症候性冠攣縮性狭心症の1例

症例は59歳, 男性. 心房細動にて近医通院中であった. 2008年8月23日朝7時ころ, 心肺停止状態にて発見され, 救急車要請となった. 救急隊が使用した自動体外式除細動器には心室細動が記録され, 心室細動による心肺停止と考えられた. 入院2日後には意識は改善し, 会話も可能となった. 胸痛の既往なく, 諸検査にて急性心筋梗塞や脳血管障害などは否定された. 入院後のモニターで自然停止する多形性心室頻拍が頻回に記録された. 心臓カテーテル検査では器質的冠動脈狭窄を認めなかったが, アセチルコリン負荷で冠動脈3枝ともに高度な冠攣縮および心室性期外収縮の多発を認めた. また, 亜硝酸薬投与後にお...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 42; no. SUPPL.2; pp. S2_158 - S2_164
Main Authors 村井, 典史, 山分, 規義, 清水, 雅人, 大坂, 友希, 鈴木, 秀俊, 櫻田, 春水, 浅野, 充寿, 平岡, 昌和, 島田, 博史, 藤井, 洋之, 西崎, 光弘, 前田, 真吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.42.S2_158

Cover

More Information
Summary:症例は59歳, 男性. 心房細動にて近医通院中であった. 2008年8月23日朝7時ころ, 心肺停止状態にて発見され, 救急車要請となった. 救急隊が使用した自動体外式除細動器には心室細動が記録され, 心室細動による心肺停止と考えられた. 入院2日後には意識は改善し, 会話も可能となった. 胸痛の既往なく, 諸検査にて急性心筋梗塞や脳血管障害などは否定された. 入院後のモニターで自然停止する多形性心室頻拍が頻回に記録された. 心臓カテーテル検査では器質的冠動脈狭窄を認めなかったが, アセチルコリン負荷で冠動脈3枝ともに高度な冠攣縮および心室性期外収縮の多発を認めた. また, 亜硝酸薬投与後においても冠攣縮は容易に誘発され, 薬剤抵抗性冠攣縮が示唆された. 後日, カルシウム拮抗薬, 亜硝酸薬内服加療下で心臓電気生理学的検査を施行したところ, 右室心尖部プログラム刺激にて多形性心室頻拍が再現性をもって容易に誘発された. 以上, 本症例においては心室筋受攻性の亢進が潜在し, さらに高度な冠攣縮がその程度を増強し, 多形性心室頻拍・心室細動が発症したと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.S2_158