陳旧性心筋梗塞による左室下壁低電位領域-僧帽弁輪間に拡張期電位を認め,同部位へのアブレーションで治療し得た下壁中隔側mitral isthmus心室頻拍の1例

症例は77歳,男性.既往は下壁心筋梗塞.主訴は動悸と胸部絞扼感.受診時血圧148/104mmHg,心電図上,頻拍周期(CL)440msec,右脚ブロック型・上方軸の心室頻拍(VT)を認めた.III群抗不整脈薬静注にて停止せず,除細動にて洞調律へ復帰した.心エコー上,左室駆出率は42%,後下壁に壁運動低下を認めた.冠動脈造影上,右冠動脈完全閉塞を認め,冠動脈ステントを留置.心臓電気生理学的検査では,VTは右室プログラム刺激にて容易に誘発され,誘発されたVTはCL 375msecで,QRS波形は右脚ブロック型・上方軸を呈するも,臨床的VTとは若干異なっていた.CARTOマッピングにて誘発VTは左室...

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Published in心臓 Vol. 44; no. SUPPL.3; pp. S3_218 - S3_224
Main Authors 今, 純一, 小林, 義典, 上野, 亮, 笠井, 智司, 戸田, 恵理, 及川, 恵子, 森田, 典成, 飯田, 剛幸, 牛島, 明子, 駒井, 太一, 松陰, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.S3_218

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Summary:症例は77歳,男性.既往は下壁心筋梗塞.主訴は動悸と胸部絞扼感.受診時血圧148/104mmHg,心電図上,頻拍周期(CL)440msec,右脚ブロック型・上方軸の心室頻拍(VT)を認めた.III群抗不整脈薬静注にて停止せず,除細動にて洞調律へ復帰した.心エコー上,左室駆出率は42%,後下壁に壁運動低下を認めた.冠動脈造影上,右冠動脈完全閉塞を認め,冠動脈ステントを留置.心臓電気生理学的検査では,VTは右室プログラム刺激にて容易に誘発され,誘発されたVTはCL 375msecで,QRS波形は右脚ブロック型・上方軸を呈するも,臨床的VTとは若干異なっていた.CARTOマッピングにて誘発VTは左室下壁低電位領域-僧帽弁輪間に峡部を有するリエントリーであった.VT中,同峡部にてQRS波に160msec先行する拡張期電位を認め,concealed entrainmentが得られ,post-pacing interval(PPI)はCL+20msであった.同部位への通電にてCLは424msecへ延長するもVTは停止せず,近傍のPPIとCLが完全に一致する部位での通電開始後,約6秒後にVTは停止した.その後,低電位領域から僧帽弁輪にかけて線状焼灼を追加し,イソプロテレノール使用下でもVTは誘発不能となった.陳旧性心筋梗塞に伴うmitral isthmus VTに対しアブレーションで治療し得た症例と考え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.S3_218