心筋梗塞後に発症した心室瘤内低電位領域起源心室頻拍に対してcooled tip catheterを用いた緊急ablationが奏功した1例

症例は88歳の男性. 主訴: 呼吸苦. 2009年4月に呼吸苦を自覚し近医を受診. 心電図上II, III, aVFでST上昇を認め, 血液検査上CK 1,800 IU/dLと高値でありトロポニンT陽性であったため, 緊急冠動脈造影を施行した. 左前下行枝segment 6に75%の狭窄を認めるのみであり冠動脈形成術はしなかった. 第3病日に心室頻拍(VT), 引き続き心室細動(VF)が出現したため, 直流除細動300Jにより洞調律に復帰した. その後VT・VFのelectrical stormとなり, ニフェカラント, ランジオロール, アミオダロンを投与したが効果なく, 血行動態も保てなく...

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Published in心臓 Vol. 42; no. SUPPL.4; pp. S4_156 - S4_162
Main Authors 河村, 光晴, 丹野, 郁, 伊藤, 啓之, 三好, 史人, 小貫, 龍也, 松井, 泰樹, 小林, 洋一, 菊地, 美和, 浅野, 拓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.42.S4_156

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Summary:症例は88歳の男性. 主訴: 呼吸苦. 2009年4月に呼吸苦を自覚し近医を受診. 心電図上II, III, aVFでST上昇を認め, 血液検査上CK 1,800 IU/dLと高値でありトロポニンT陽性であったため, 緊急冠動脈造影を施行した. 左前下行枝segment 6に75%の狭窄を認めるのみであり冠動脈形成術はしなかった. 第3病日に心室頻拍(VT), 引き続き心室細動(VF)が出現したため, 直流除細動300Jにより洞調律に復帰した. その後VT・VFのelectrical stormとなり, ニフェカラント, ランジオロール, アミオダロンを投与したが効果なく, 血行動態も保てなくなったため緊急カテーテルアブレーションを施行した. CARTO systemによるmappingを行い, 左室心尖部下壁側の心室瘤に一致して広範な低電位領域を認めた. 同部位内のpurkinje potentialを指標にcooled tip catheterを用いてアブレーションを施行した. 30回の通電によりVTは消失した. 現在はアミオダロン200mg内服中であるが, VTは再発していない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.S4_156