両側性完全唇顎口蓋裂症例における二段階口蓋裂手術と上顎骨歯槽部の成長発育に関する臨床的研究
本研究は両側性完全唇顎口蓋裂に対し,同一・の唇裂手術法を施行した後,口蓋裂手術はPerko法に準じた我々の二段階口蓋裂手術法(Bil-T群)および口蓋粘膜骨膜弁後方移動術(Bil-s群)による手術を受けた患者の上顎骨歯槽部の成長発育を乳幼児期から6歳時に至る期間,経年的,三次元的に追跡した.口蓋裂手術方法の相違と上顎骨歯槽部の成長発育を比較検討し,さらに被験症例の各発育段階に応じて選択した非裂健常児(対照群)との比較から両側性完全裂症例における成長発育障害発現の様相を明らかにし,二段階口蓋裂手術法の本裂型症例に対する適応について検討した.症例の分析には被験対象より採取した顎顔面模型を用い,上顎...
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          | Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 12; no. 2; pp. 210 - 220 | 
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| Main Authors | , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本口蓋裂学会
    
        1987
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0386-5185 2186-5701  | 
| DOI | 10.11224/cleftpalate1976.12.2_210 | 
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| Summary: | 本研究は両側性完全唇顎口蓋裂に対し,同一・の唇裂手術法を施行した後,口蓋裂手術はPerko法に準じた我々の二段階口蓋裂手術法(Bil-T群)および口蓋粘膜骨膜弁後方移動術(Bil-s群)による手術を受けた患者の上顎骨歯槽部の成長発育を乳幼児期から6歳時に至る期間,経年的,三次元的に追跡した.口蓋裂手術方法の相違と上顎骨歯槽部の成長発育を比較検討し,さらに被験症例の各発育段階に応じて選択した非裂健常児(対照群)との比較から両側性完全裂症例における成長発育障害発現の様相を明らかにし,二段階口蓋裂手術法の本裂型症例に対する適応について検討した.症例の分析には被験対象より採取した顎顔面模型を用い,上顎骨歯槽部の成長発育を唇裂手術直前(stage A),口蓋裂手術直前(stage B),4歳時(stage C),および6歳時(stage D)の各発育段階において分析した.その結果,両側性完全唇顎口蓋裂症例においては,二段階口蓋裂手術法と口蓋粘膜骨膜弁後方移動術のいずれの口蓋裂手術方法においても上顎骨歯槽部の成長発育不全の傾向が漸次著明とならてくることが明らかとなった. 以上の結果は,両側性完全唇顎口蓋裂症例に対して二段階口蓋裂手術法は従来の口蓋粘膜骨膜弁後方移動術に比較して上顎骨歯槽部の成長発育に特に有効であるとする所見は認められなかったこと,従って本法の両側性症例への適用については今後慎重な検討を要すること等が示唆された. | 
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| ISSN: | 0386-5185 2186-5701  | 
| DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.12.2_210 |