心室細動蘇生後の顕性WPW症候群における副伝導路離断後のJ波の変化

顕性WPW症候群では,心房細動(AF)の合併から致死性心室性不整脈が生じることが知られている.心室細動(VF)を呈し,自動体外式除細動器(AED)により心拍再開した顕性WPW症候群の男性3例を経験した.いずれも過去に動悸発作の既往はなく3例ともに早期再分極(ER)を下壁誘導・側壁誘導に認めた.冠動脈に有意狭窄は認めず冠攣縮も誘発されなかった.2例(30歳・57歳)では,副伝導路アブレーション後にはERは減高し,V4,V5でS波を認めた.慢性期にもERは減高したままである.また,アブレーション後の心室プログラム刺激により心室性不整脈は誘発されず,VFの原因はAFの関与が疑われ植込み型除細動器(I...

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Published in心臓 Vol. 44; no. SUPPL.3; pp. S3_155 - S3_162
Main Authors 岩澤, 仁, 櫻田, 春水, 赤澤, 良太, 手島, 保, 平岡, 昌和, 北條, 林太郎, 田辺, 康宏, 安部, 朋美, 林, 武邦, 名内, 雅弘, 深水, 誠二, 小宮山, 浩大, 北村, 健, 貝原, 俊樹, 石川, 妙, 渡邉, 智彦, 西村, 卓郎, 島田, 博史, 松下, 紀子, 西崎, 光弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.S3_155

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Summary:顕性WPW症候群では,心房細動(AF)の合併から致死性心室性不整脈が生じることが知られている.心室細動(VF)を呈し,自動体外式除細動器(AED)により心拍再開した顕性WPW症候群の男性3例を経験した.いずれも過去に動悸発作の既往はなく3例ともに早期再分極(ER)を下壁誘導・側壁誘導に認めた.冠動脈に有意狭窄は認めず冠攣縮も誘発されなかった.2例(30歳・57歳)では,副伝導路アブレーション後にはERは減高し,V4,V5でS波を認めた.慢性期にもERは減高したままである.また,アブレーション後の心室プログラム刺激により心室性不整脈は誘発されず,VFの原因はAFの関与が疑われ植込み型除細動器(ICD)植え込みはせず経過観察している.1例(35歳)ではアブレーション後にERは顕著となり,VFが再現性をもって誘発された.VFの原因としてERの関与が疑われ,ICD植え込みを施行した.慢性期にも明瞭なERを認める. VFを生じた顕性WPW症候群においてERを認め,副伝導路治療後にJ波がより顕性化する場合にはVF発症にERが関与した可能性がある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.S3_155