下顎小臼歯部に両側性にみられた含歯性嚢胞の1例

「緒言」含歯性嚢胞は歯胚歯冠部の被覆上皮に変性融解が起こることで発生するとされているが, その成因については未だ不明な点も多い1). 歯根嚢胞に次いで発生頻度が高く, 日常臨床において遭遇する機会の多い疾患であるが, その多くは永久歯胚に関連して片側性に発生し, 両側性にみられることは比較的まれである. 今回われわれは, 小児の下顎小臼歯部に両側性に発生した含歯性嚢胞に対し, 埋伏した原因歯の保存を図りながら摘出術を施行したところ, 正常な萌出を得ることができた1例を経験したので, その概要を若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 患者:10歳, 女児. 初診:2000年10日10日. 主訴...

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Published in小児口腔外科 Vol. 16; no. 1; pp. 48 - 52
Main Authors 市原, 左知子, 脇田, 壮, 今井, 隆生, 鳥居, 由紀, 中塚, 健介, 関, 泰, 栗田, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児口腔外科学会 25.06.2006
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ISSN0917-5261
1884-6661
DOI10.11265/poms1991.16.48

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Summary:「緒言」含歯性嚢胞は歯胚歯冠部の被覆上皮に変性融解が起こることで発生するとされているが, その成因については未だ不明な点も多い1). 歯根嚢胞に次いで発生頻度が高く, 日常臨床において遭遇する機会の多い疾患であるが, その多くは永久歯胚に関連して片側性に発生し, 両側性にみられることは比較的まれである. 今回われわれは, 小児の下顎小臼歯部に両側性に発生した含歯性嚢胞に対し, 埋伏した原因歯の保存を図りながら摘出術を施行したところ, 正常な萌出を得ることができた1例を経験したので, その概要を若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 患者:10歳, 女児. 初診:2000年10日10日. 主訴:左側頬部腫脹. 既往歴, 家族暦:特記事項なし. 現病歴:2000年10月8日より左側頬部の腫脹を自覚する. 翌日より発熱および開口障害が出現したため某歯科医院を受診, X線所見にて両側下顎第2乳臼歯根尖部に嚢胞様透過像を認めたため紹介により来科した. 現症:全身状態;発熱37.3℃, 倦怠感を自覚. 経口摂取はやや不良であった. 口腔外所見;左側頬部に発赤, 腫脹とともに熱感を認め, 開口量は10mm程で著しい開口障害を伴っていた.
ISSN:0917-5261
1884-6661
DOI:10.11265/poms1991.16.48