アプローチの違いにおける柔軟性の変化について
【目的】 柔軟性向上や、障害を予防することを目的に、様々な準備体操が行われている。しかし、どの体操がより効率良く、柔軟性に変化を及ぼすのかは知られていない。そこで今回、柔軟性に影響があると考えられているいくつかの体操を行い、柔軟性の変化を検証した。 【方法】 対象は、健常成人12名(男性8名、女性4名)、平均27.1(±3.32SD)歳である。 体操内容は、左右ハムストリングスに対し、1)Static stretch:持続的なストレッチ、2)Ballistic stretch:1秒間のストレッチと2秒間の安静、3)相反抑制:1秒間の大腿四頭筋収縮と2秒間の安静、4)同筋短縮性収縮:3秒間のハム...
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          | Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 29; p. 66 | 
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| Main Authors | , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
    
        2010
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0916-9946 2187-123X  | 
| DOI | 10.14901/ptkanbloc.29.0.66.0 | 
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| Summary: | 【目的】 柔軟性向上や、障害を予防することを目的に、様々な準備体操が行われている。しかし、どの体操がより効率良く、柔軟性に変化を及ぼすのかは知られていない。そこで今回、柔軟性に影響があると考えられているいくつかの体操を行い、柔軟性の変化を検証した。 【方法】 対象は、健常成人12名(男性8名、女性4名)、平均27.1(±3.32SD)歳である。 体操内容は、左右ハムストリングスに対し、1)Static stretch:持続的なストレッチ、2)Ballistic stretch:1秒間のストレッチと2秒間の安静、3)相反抑制:1秒間の大腿四頭筋収縮と2秒間の安静、4)同筋短縮性収縮:3秒間のハムストリングスの収縮と3秒間の安静、以上4つの体操をおこなった。なお、アプローチの時間は各肢30秒とし、各体操間は1日以上あけた。 評価は、体操前・直後・30分後に、柔軟性の評価にSLR・長座体前屈を行い、全身の筋緊張や関節運動の評価にfadirf・fabere・Horizontal Flexion Test(以下HFT)・Combined Abduction Test(以下CAT)を行った。 統計処理には、Fisher’s PLSD法・Sheffe法を用い、各体操の直後・30分後の変化について検定した。統計学的解析は、P<0.05を有意とした。 【結果】 Static stretch群は、体操直後のfadirf(P=0.003)・HFT(P=0.004)において有意と判定されたが、長座体前屈・SLRでは有意差は見られなかった。Ballistic stretch群では、体操直後の長座体前屈(P=0.01)・右SLR(P=0.03)・左SLR(P=0.03)で有意と判定された。相反抑制群では、体操直後の長座体前屈(P=0.02)・右SLR(P=0.03)、30分後の長座体前屈(P=0.04)で有意と判定された。同筋短縮性収縮群では各評価において有意差はみられなかった。 【考察】 柔軟性の即時的効果はBallistic stretch・相反抑制で得られ、30分後の持続的効果は相反抑制の体操で得られた。よって、柔軟性の持続には、ハムストリングスの筋実質へのアプローチよりも、大腿四頭筋からの脊髄を介した神経的抑制のアプローチを行った方が、効果的であることが示唆された。 また、全身の筋緊張や関節運動に対する即時的効果は、fadirfやHFTで有意と判定されたことから、Static stretchが効果的であることが示唆された。 柔軟体操を行なう時は、全身の筋緊張や関節運動を改善するとストレッチゾーンが拡大し、安全性が高いとされている。その為、始めにStatic stretchを行い、その後に相反抑制の体操を行うことは、より安全な準備体操となると考えられる。 【まとめ】 柔軟性の即時的効果はBallistic stretch・相反抑制で得られ、持続的効果は相反抑制の体操で得られた。また、全身の筋緊張や関節運動に対する即時的効果は、Static stretchが効果的であることが示唆された。よって、各体操において、効果は多様であり、目的に応じて、体操の選択を行うことが重要であると考えられた。 | 
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| Bibliography: | 97 | 
| ISSN: | 0916-9946 2187-123X  | 
| DOI: | 10.14901/ptkanbloc.29.0.66.0 |