屈伸動作・着地動作時のknee-inに関連する下肢・体幹機能評価項目について
【目的】スポーツ膝傷害を呈する患者に多くみられる動作時のknee-inは、膝傷害の危険因子としても挙げられており、knee-inの関連因子を知ることは介入方法を選択していく上で重要となる。そこで今回、臨床上容易に行える下肢・体幹機能評価から、屈伸動作・着地動作時のknee-inへの関連因子を調査することを目的とした。【方法】対象は、下肢疾患のない健常成人20名(男性9名・女性11名)40肢、平均年齢25.6±3.5歳、スポーツ活動の有無は問わないものとした。〈BR〉方法は、動作時に示すknee-in出現回数と下肢・体幹機能評価項目を、ステップワイズ重回帰分析にて統計処理を行い、knee-inの...
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| Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 29; p. 51 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2010
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0916-9946 2187-123X |
| DOI | 10.14901/ptkanbloc.29.0.51.0 |
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| Summary: | 【目的】スポーツ膝傷害を呈する患者に多くみられる動作時のknee-inは、膝傷害の危険因子としても挙げられており、knee-inの関連因子を知ることは介入方法を選択していく上で重要となる。そこで今回、臨床上容易に行える下肢・体幹機能評価から、屈伸動作・着地動作時のknee-inへの関連因子を調査することを目的とした。【方法】対象は、下肢疾患のない健常成人20名(男性9名・女性11名)40肢、平均年齢25.6±3.5歳、スポーツ活動の有無は問わないものとした。〈BR〉方法は、動作時に示すknee-in出現回数と下肢・体幹機能評価項目を、ステップワイズ重回帰分析にて統計処理を行い、knee-inの関連因子を抽出した。knee-inの判定は、片脚立位にて支持脚の膝伸展位から約30°までの屈曲動作(以下、屈伸動作)と、30cm台からの片脚着地動作(以下、着地動作)を左右各3回行い、上前腸骨棘と母趾中央を結ぶ線より、膝蓋骨中央が内側に位置するものを陽性とした。下肢・体幹機能評価は、1)股関節内旋可動域(以下、hip IR) 2)股関節外旋可動域 3)足関節背屈可動域 4)SLR 5)臀踵間距離(以下、BHD) 6)Thomasテスト 7)長座体前屈 8)Q-angle 9)全身弛緩性 10)上体起こし 11)single bridge 12)Kraus‐Weber test(変法) 13)背筋力 14)WBI 15)等速性筋力60deg/secでのH/Q比 16)等速性筋力300deg/secでのH/Q比(以下、300H/Q比) の16項目を測定した。統計学的分析は、p<0.05を有意とした。【結果】ステップワイズ重回帰分析から、屈伸動作ではhip IRとBHDが採用され、(knee-in回数)=0.04×(hip IR)-0.132×(BHD)+0.845 (p<0.0001)の回帰式が得られた。また、着地動作では300H/Q比が採用され、(knee-in回数)=-0.04×(300H/Q比)+4.161(p<0.0019)の回帰式が得られた。【考察】本研究から、屈伸動作では、hip IRが低値を示しBHDが高値を示すほどknee-inを伴う可能性が低くなり、着地動作では、300H/Q比が高値を示すほどknee-inを伴う可能性が低くなることが示唆された。〈BR〉このことから、屈伸動作ではhip IRとBHD、着地動作では300H/Q比の値から、あらかじめknee-inを伴う可能性が予測でき、また、今回採用された項目の改善が、各動作におけるknee-inの減少に有用であると考える。しかし、屈伸動作のhip IR・BHDにおいては、可動範囲が狭いほどknee‐inが少ないといった結果であり、介入方法の選択において今後検討の余地がある。着地動作の300H/Q比は、理学療法の介入により改善が可能であるため、臨床上活用していくことができると考える。また、両者の動作時のknee-in関連因子は異なっているため、介入方法は目的動作に合わせて選択することが必要であると考える。【まとめ】屈伸動作のknee-inにはhip IR・BHDの値が関連しており、着地動作のknee-inには300H/Q比の値が関連していた。また、両者のknee-inに関与する下肢・体幹機能評価における項目は異なっていた。 |
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| Bibliography: | 177 |
| ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
| DOI: | 10.14901/ptkanbloc.29.0.51.0 |