劇症1型糖尿病と同時に発症した心筋梗塞の1例
症例は66歳, 男性. 狭心症のため50歳時に左前下行枝(left anterior descending artery; LAD) #6に方向性冠動脈粥腫切除術(directional coronary atherectomy; DCA), 51歳時にLAD#6にステント留置歴あり. 1週間前より感冒症状があり数日前より口渇感が出現. 翌日, 当科定期受診するも感冒と考え, 症状の訴えはしなかった. その後, 胸痛, 呼吸困難が出現し救急車にて搬送された. 来院時, 血圧測定不能, 頻呼吸, 全身チアノーゼ著明であり, 心電図ではwide QRS, 広範囲の誘導でST上昇を認め, 経胸壁心臓...
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Published in | 心臓 Vol. 43; no. 11; pp. 1425 - 1430 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2011
日本心臓財団 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.43.1425 |
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Summary: | 症例は66歳, 男性. 狭心症のため50歳時に左前下行枝(left anterior descending artery; LAD) #6に方向性冠動脈粥腫切除術(directional coronary atherectomy; DCA), 51歳時にLAD#6にステント留置歴あり. 1週間前より感冒症状があり数日前より口渇感が出現. 翌日, 当科定期受診するも感冒と考え, 症状の訴えはしなかった. その後, 胸痛, 呼吸困難が出現し救急車にて搬送された. 来院時, 血圧測定不能, 頻呼吸, 全身チアノーゼ著明であり, 心電図ではwide QRS, 広範囲の誘導でST上昇を認め, 経胸壁心臓超音波検査にて前壁中隔から心尖部にかけての壁運動低下を認めた. 急性冠症候群に伴う心原性ショックと判断し, 大動脈バルーンパンピング(intraaortic balloon pumping; IABP)留置後, 冠動脈造影検査を施行しLAD#7に90%狭窄を認め, 同部に対し冠動脈形成術を施行した. その後, 血糖値1,063mg/dLであることが判明し, 集中治療室にて気管挿管下に心不全管理とともに血糖管理を行った. 入院時の尿中ケトン体陽性, 血液ガス所見上アシドーシス著明, HbA1c <6.5%, 尿中Cペプタイド低値であり劇症1型糖尿病の診断基準を満たした. 本症例は, 著明な高血糖に伴う脱水のため高度な循環不全が生じ, それに伴い冠動脈の虚血が進行, 梗塞に陥ったものと考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.43.1425 |